血漿中ホモシステインと認識能との関係
Joshua W Millerら, Am J Clin Nutri 2003; 78: 441-447より

 

血漿ホモシステイン濃度の上昇は、心疾患系疾患の独立した危険因子であり、アルツハイマー症患者や施設に居住している高齢者の認識能と関連があることが報告されている。
 
目 的
我々は血漿中総ホモシステイン濃度と認識能との関連性をSacramento Area Latino Study on Aging研究の対象者で調査した。
 
方 法
認識能の評価にはThe Modified Mini-Mental State Examination(3MSE)を用い、それぞれの認識能には6種類のテストを行った。認識能試験スコアと血漿中総ホモシステイン濃度は重回帰分析にて分析された。
対象:60歳以上の施設入居者1789名
測定項目:血漿ホモシステイン濃度、赤血球中葉酸濃度、血漿ビタミンB12濃度、血清クレアチニン
認識能テスト: The Modified Mini-Mental State Examination、他6種類のテスト
 
結 果
ホモシステイン濃度といくつかの認識能スコアとの間に逆相関関係が観察された。 赤血球葉酸濃度が低値の人は1%のみにもかかわらず、高ホモシステイン血症者(13μmol/L以上)は17%という高い割合であった。
 
表 血漿中ホモシステイン濃度との関係
 
相関係数
P
赤血球中葉酸
-0.134±0.020
<0.001
血漿中ビタミンB12
-0.249±0.014
<0.001
血清クレアチニン
 0.483±0.025
<0.001
年齢
 0.009±0.001
<0.001
 0.031±0.015
 0.036
 
図 血漿中ホモシステイン濃度(5分位)と認識能テストスコアの関係
結 論
ホモシステインは施設に入居している高齢者を対象とした調査において、認識能との関連性が観察され、B群ビタミンを摂取して血漿ホモシステインを低下させると、認識能低下を防ぐことが可能であることが示唆された。ただし効果はそれほど大きくはないと考えられる。
 

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