血清中抗酸化ビタミン濃度と乳がん発症リスクとの関係
                           Mi Kyung Kimら, Nutr Res 21 (2001);797-809
 
 
試験方法
 
・方法: 症例対照研究  
・研究国: 韓国  
・試験期間: 1994年6月〜1995年7月  
・対象: 乳がん患者 160名、 対照 229名  
・測定項目及 び測定方法: 血清中α-トコフェロール、カロテノイド、レチノールをHPLC法により測定した  

 

結果
血清中の各項目平均濃度を表1に示す

表1. 各群の平均血清抗酸化ビタミン濃度

  総対象者   閉経前   閉経後 
 
乳がん患者
対照
乳がん患者
対照
乳がん患者
対照
α-トコフェロール(μg/ml) 7.63±0.42*** 11.0±0.73   6.95±0.47*** 10.3±0.56   8.90±0.81* 14.8±3.37
β-カロテン(μg/dl) 40.5±2.05*** 48.3±1.59   42.0±2.67 47.2±1.72   37.5±3.08*** 54.0±4.12
α-カロテン(μg/dl) 3.40±0.21 3.23± 0.13   3.50±0.25 3.14± 0.13   3.12±0.34 3.54±0.38
クリプトキサンチン(μg/dl) 61.1±3.45*** 72.3±2.04   62.5±4.49* 71.0±2.07   58.5±5.25** 78.8±6.57
ルテイン+ゼアキサンチン(μg/dl) 40.4±2.86*** 67.6±1.84   39.5±3.36*** 68.1±2.06   42.0±5.34*** 65.3±4.03
リコペン(μg/dl) 9.20±0.63* 11.0±0.48   10.2±0.84 10.6±0.49   7.40±0.87*** 12.8±1.51
レチノール(μg/dl) 49.0±4.10*** 64.6±1.95   48.0±6.11** 64.2±2.00   51.0±2.86* 66.5±6.13
*P<0.05, **P<0.01, ***P<0.001    
     
乳がん患者の血清α-トコフェロール、β-カロテン、クリプトキサンチン、ルテイン+ゼアキサンチン、リコペン、レチノール濃度は対照群と比較すると有意に低値であった。
年齢、BMI、喫煙習慣、飲酒を補正した後のオッズ比をみると、血清抗酸化ビタミンが増加するにつれ、乳がんのリスクが低下する傾向がみられた。
閉経の状態を併せて解析を行った。その結果、各濃度5分位の最高群の補正後オッズ比を最低群と比較すると、閉経前の女性ではα-トコフェロール 0.41(95%CI:0.18, 0.93)、β-カロテン 0.33(95%CI:0.15, 0.73)、ルテイン+ゼアキサンチン 0.13(95%CI:0.06, 0.31)であり、閉経後は、α-トコフェロール 0.13(95%CI:0.03, 0.66)、β-カロテン 0.28(95%CI:0.07, 1.12)、ルテイン+ゼアキサンチン 0.12(95%CI:0.03, 0.58)であった
韓国で行われた本研究結果は、血清抗酸化ビタミンと乳がん発症リスクとの間に逆相関の関係があることを証明した。
 

まとめ
本研究結果より、抗酸化ビタミンによる乳がん予防の可能性が示唆された。

 


 

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