EGCGの抗ガン作用
-エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)による血管系腫瘍の成長阻害-
Gianfranco Fassinaら, Clin Cancer Res.10; 4865-4873, 2004より
 
 
緑茶の摂取は、一部の腫瘍について発生率の低下と関連すると言われている。現在のデータではこの科学的予防効果の主要介在物はエピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)であると示唆されており、これは乾燥茶葉に最も多く検出されるポリフェノールである。そこで今回は、特に腫瘍成長に関連する腫瘍細胞および内皮細胞についてEGCGの効果を検討するため、高度血管性のカポジ肉腫(KS)腫瘍モデルおよび内皮細胞に対する緑茶およびEGCGの効果をin vivoとin vitroにおいて試験した。
本研究結果から、緑茶ガレートは、血管系腫瘍治療における化学的予防または補助薬としての設定に使用される可能性のあることが示唆される。
 
【内皮細胞およびKS-IMM細胞の成長に対するEGCGの効果】
EGCGの細胞成長に対する効果を先ずin vitroで試験した。その結果、25μM以上のEGCG濃度ではKS-IMM細胞の成長を有意に阻害し(図1上)、50μM以上の濃度においては合計細胞数を明らかに減少させた。EGCGによる同様の成長阻害効果はヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)においても観察され、25μMのEGCGでは72時間後から強く細胞増殖抑制効果を示した(図1下、P<0.001)。
図1 内皮細胞およびKS-IMM細胞の成長に対するEGCGの効果
 
【アポトーシスへ及ぼす影響】
EGCGの細胞成長に対する効果が潜在的にアポトーシス的または細胞毒的であることが示唆されたため、EGCGのアポトーシスへの影響を調べた。24時間処理においては、EGCGの低い投与量(10〜25μM)ではカポジまたは内皮細胞のどちらにおいてもアポトーシスや壊死への影響は観察されなかった。しかし25μM以上のEGCG投与では、KS-IMMおよびHUVECの双方で投与量依存的なアポトーシスを誘発しており、どちらの細胞系統においても50μMという濃度が境界線値であるように思われる。
 
【EGCGによるKS腫瘍成長の低下】
EGCGのKS細胞成長と血管形成を抑制する作用を前提に、EGCGおよび緑茶がin vivoで血管腫瘍細胞の成長を阻害することが可能であるかどうかについて調べた。不死化したKS細胞系統であるKS-IMMは、雄ヌードマウスに皮下注射されると高度に血管形成性の腫瘍を形成する。KS-IMMの細胞注
射前に、3日から1日おきにEGCGを飲料水により投与すると、水だけを投与した対照群と比較して腫瘍の成長が有意に低下した(P<0.05)(図2)。更に、対照群の90%において大型の腫瘍が形成されたのに対し、処理マウスではすべて大きさの限られた成長の遅い腫瘍を発症するに止まった。試験動物の体重には差異は見られず、EGCGの毒性は、限られたものであるか或いは毒性のないことを示している。EGCGを投与したマウスでは腫瘍の大きさに50%の減少が見られた。
図2 KS腫瘍の成長に対するEGCGの効果
 

 

 

 

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