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緑茶による心疾患やガンの予防効果については疫学的研究が進められており、また、最近では肥満予防効果についても注目を浴びている。緑茶における健康への効果はカテキン、特にEGCGに起因するといわれている。EGCGは緑茶抽出物中に最も多く含まれており、抗酸化、抗ガンおよび抗血圧上昇作用などが示唆されている。しかし、ヒトにおける体内動態についての知見は限られており、さらにこれまでの研究には他のカテキン(EC、EGC、ECG)が含まれていたが、第18回茶学術研究会講演会において、ロシュ・ビタミン社(現DSM
Nutritional Products社、Dr.Daniel Raederstorff)から、特にEGCGに着目した、ヒトにおける体内動態研究について発表があったので紹介する。
研究会では同社にて開発に成功したEGCGを平均94%含む「TEAVIGO?」を使用し、EGCG摂取後の血漿中の動態を測定した結果が報告された。
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単回経口投与試験
対象者:白人健常男性 60名、18〜44歳
投与量:TEAVIGO? 50mg、100mg、200mg、400mg、800mg、1,600mg を10時間絶食後に単回投与 |
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総EGCG濃度とフリー体のみの動態を表1・表2に、投与後の血漿中濃度の変化を図に示した。 |
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表1 血漿中総EGCGの体内動態 |
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表2 血漿中フリー体EGCGの体内動態 |
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Tmax : 最高濃度到達時期 |
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今回の試験により、通常の緑茶摂取からは得られないEGCG摂取量(1,600mg)でもヒトに対して耐容性があること、また半減期が短いことから、反復経口投与でも体内への蓄積リスクが少ないことが示唆された。
また、動物実験によると、餌と同時にEGCGを摂取するとEGCGの吸収が抑制されることが確認された。さらに、血漿中に存在するEGCGは、その多くがグルクロン酸基や硫酸基がついた抱合体ではなく、フリー体であることもわかった。 |