液透析患者において葉酸摂取が高ホモシステイン血症に及ぼす影響

Paula Garcia Chiarelloら, Int.J.Vitam.Nutr.Res., 73(6), 2003, 431-438

 
本研究は、葉酸の投与量を2種摂取させ、高ホモシステイン血症やプロオキシダントと抗酸化作用への影響を、血液透析患者32名を対象に調査した。最後まで追跡できたのは22名であった。
 
方 法
投与前
 ↓
投与1:葉酸2.5mg/透析×3ヶ月
 ↓
休止 1ヶ月
 ↓
投与2:葉酸15mg/透析×3ヶ月
 
結 果
全ての患者で、程度は違うが高ホモシステイン血症が観察された(45.30±24.89μM)。最初の葉酸投与後に、正常値にはならなかったが、ホモシステイン濃度が減少した(44.92±22.05→20.56±6.79μM、P<0.05)。2回目の投与後にさらなる効果はみられなかったが、脂質過酸化が有意に減少していた。

最初の葉酸投与はホモシステイン濃度低下に効果があったといえる。酸化ストレス下では、高ホモシステイン血症のリスクがある。しかし、透析治療との併用において、この集団に酸化的環境を与える可能性がある。
葉酸の抗酸化作用は、脂質過酸化に対する直接の作用や、高ホモシステイン血症の調整などによるものと考えられた。透析患者においては、ホモシステイン濃度を減らすために、葉酸や他のビタミンサプリメントを常時摂取することについて考慮されるべきであり、そうすることで心血管系疾患リスクを最小限にする効果も期待できる。

 
妊娠を計画している、妊娠中または1年以内に出産経験があるなど、妊娠を身近に経験している女性と高学歴の女性において、葉酸の認知および認知度の増加が著しかった。
調査の前年に出産経験をした女性、それぞれ1998年で54名、2000年で55名のうち、妊娠前または初期に葉酸サプリメントを摂取した人は、10%(95%CI 5-21%)と47%(95% CI 35-60%)であった。また妊娠を身近に経験している女性の中では、1998年で76%、2000年で76%の人が、今後妊娠した時に葉酸サプリメントを摂取する可能性があると答えた。
 
ま と め
ノルウェー人女性の葉酸に対する知識と摂取状況は1998年よりも2000年の方が高く、増加していた。今後は、社会的階級による葉酸の摂取や知識の差をなくすこと、また特に、葉酸の摂取期間に関する認識を増加させることを目的とした情報発信をしていくべきである。
 
表 血液透析患者における葉酸投与後のホモシステイン、酸化によるダメージ、抗酸化物質の変化
 
投与前
投与1後
投与2後
比較
22名
22名
22名
 
ホモシステイン(μmol/L)
44.92±22.05
20.56±6.79
20.97±7.05
前>1=2
血症MDA(pmol/L)
1.68±0.38
1.54±0.45
1.22±0.47
前>2
血球MDA(μmol/L)
4.20±2.49
2.83±0.97
2.80±0.70
前>2
葉酸(μmol/L)
10.04±3.07
32.15±5.30
67.30±46.27
前<1<2
ビタミンE(μmol/L)
43.58±29.06
32.27±49.64
13.02±4.38
前>2
ビタミンC(nmol/gHb)
37.27±18.88
29.23±11.59
42.89±29.12
MDA: マロンジアルデヒド

 

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