喫煙は動脈硬化の独立した危険因子である。本研究は、喫煙が血漿やLDL抗酸化濃度、LDL酸化に及ぼす影響を調査するために行われた。対象者は、喫煙者27名、非喫煙者62名の計89名であった。生化学的指標、血漿中ビタミンC、α-トコフェロール、LDL中α-トコフェロール濃度を測定した。またLDLラグタイム、酸化率、LDL中α-トコフェロールとLDL酸化との関連性についても測定した。 血漿中アスコルビン酸およびα-トコフェロール濃度は、喫煙者と非喫煙者との間に差はなかった。しかし、LDL中α-トコフェロールは非喫煙者で有意に高かった(P=0.012)。さらに、LDL酸化のラグタイムは非喫煙者の方が長く(P=0.019)、LDL酸化率は喫煙者の方が高かった(P=0.018)。加えて、喫煙者においては、LDL中α-トコフェロール濃度とLDL酸化率の間に有意な逆相関関係(r=-0.440、P=0.026)があったが、非喫煙者ではなかった。 本結果から、LDL中α-トコフェロールは、喫煙による酸化ストレスに対し、血漿中のアスコルビン酸やα-トコフェロールよりも、反応しやすいことが示唆された。また、喫煙者においては、LDL中のα-トコフェロールがLDL酸化を防御している可能性がうかがえた。
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