2000年10月 No.100

ビタミン広報センター設立20周年・

ニュースレター第100号発行を迎えるにあたり

−ニュースレター第100号発行を迎え−
東京大学名誉教授 細谷憲政

ビタミン広報センターのニュースレターが100号の記念号を発刊することを、お慶び申し上げております。
在来は、ビタミンの単体について、その化学や作用などが報じられてきました。現在は、複合になった場合の化学形態や、それぞれの作用がどうなるかということが注目されてもいます。相加作用、相乗作用、相殺作用などは、みられるのかどうかが問題視されて論議されてもおります。
食品中のビタミンなどについては、その利用効果bioavailabilityはどうなるかということも、興味が持たれて、論議されております。
一方、慢性非感染症、特に生活習慣病などに対しては、その誘発危険要因などに対して、危険度の低減・除去risk reductionに、どのように作用するかということも、興味が持たれています。
ビタミン広報センターは、今後とも、ビタミンに関する、新しい、正しい情報を提供して下さることを期待しております。このようにして、国民の健康の保持・増進、疾病の予防、治療に貢献されることを願って止みません。
 

ビタミン研究の最前線に期待する
茨城キリスト教大学教授 五十嵐脩

 最近のビタミン研究の進歩には、驚くべきものがある。特に、疾病予防におけるビタミンの役割の解明は、新しい研究の進展とともに、極めて興味深い。従来、研究が進むべきところまで進んだ観があった水溶性ビタミンの分野でも、ホモシステイン血症と動脈硬化との関連が明らかにされ、ビタミンB6、B12、葉酸の動脈硬化予防効果が疫学的、実験的にも証明されつつあり、従来の動脈硬化発症のメカニズムとは異なる新しい機構が提唱され、重要な知見といえよう。また、脂溶性ビタミンの分野では、ビタミンE、カロテノイドにビタミンCも加えた抗酸化性因子の機能や活性型ビタミンA、Dの分子レベルでの機能の解明、ビタミンEの新しい代謝経路の発見とそれら代謝物の生理作用の解明など、常に新しい発見があり、将来の研究の飛躍を期待させるものがある。このように、ビタミン研究の開始から既に1世紀を経たが今も新しい進展が継続しており、人類の健康という観点で、今後の研究に期待したい。 

 −ニュースレターから見たビタミン研究の進歩−
東邦大学医学部教授 橋詰直孝

1981年9月ニュースレターが刊行され、20年になる。私が初めてニュースレターに書いたのは、1985年第21号でアルコールとビタミン欠乏症というタイトルであった。その頃は、栄養素としてのビタミン以外に抗酸化作用を有するビタミンの黎明期であった。この20年間のビタミンの研究の進歩は著しく、まだ未知の部分もあるがビタミンの抗酸化用は確定的なものとなった。最近では先端技術を駆使して、ビタミンA、Dに代表されるようなビタミンに、細胞間情報伝達作用があることが判明した。これらのことについては103名のビタミン研究者が、20年間に渡りニュースレターに書いている。ニュースレターは、日本ビタミン史上の一部として、残ることを望む次第である。そのためには、近代ビタミン歴史館などの創立も各国の人々と手を組んで考えても良い時代に入ったような気がする。
 

−ビタミン学の新しい飛躍−
京都府立医科大学教授 吉川敏一

いつの世にも、ヒトは病気に対する恐怖心を持ち続けてきました。しかし、その病気の対象は時代とともに変化して行きます。古くは流行性の細菌感染症やビタミン欠乏症であったものが、最近ではエイズやがんになっています。その時代における医学の進歩は、次々と恐怖の対象を変え、今、先進国では動脈硬化に併う心臓病や脳疾患さえも、その対象となってきました。昔しの50年生きれば長命といわれた寿命は、今や2倍の100年になろうとしています。
この時代において、病気を予防するという考え方は、治療することに精一杯頑張ってきた臨床医をあざ笑うかのように広がっています。病気の真の原因を追求し、DNAの分析によって将来を予想し、その根本的要因を改善すれば、難病といわれている病気さえも予防が可能になると思われます。
ビタミンの欠乏症を予防するためのビタミン補給が、今や病気の予防を目ざした摂取に変わろうとしています。この変革の時代にビタミンやビタミン類似のバイオファクターのはたす意義は大きく、証拠に基づいた、いわゆるevidence baced medicineが求められています。また、この研究や予防効果を、正確に早く広めていくことも重要になってきました。
ビタミン広報センターは、20年間にわたり、この役割を十分はたしてきたと思いますが、今後はさらに、その真価が問われるものと思います。ビタミン専門委員会のメンバーの一人として、その責務の重さに身の引き締る思いでいっぱいです。 


 

VICニュースレター第100号発行によせて 

この度、本ニュースレター第100号発行において、これまで、当センターの活動をご支援くださった先生方より、お言葉を頂戴致しましたので、掲載させていただきます(五十音順)。今後ともご指導、ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
(肩書きにつきましては、ご本人の原稿に基づいております。)

藤田保健衛生大学教授 伊藤宜則
ビタミン広報センターの「VICニュースレター」100号発行に、心よりお祝いを申し上げます。VICニュースレターは、ビタミンに関する最新の知見等の情報提供やビタミン関連研究の羅針盤的役割をも果した貢献は大きく、その様々なご尽力、ご苦労に深く感謝を申し上げたい。特に、ビタミン関連の国際的知見や専門家の最新成績、カロテノイドなど時期をえた話題物質の的確な調査成績など様々な企画、工夫をこらした内容は、私のみならず多くの方々に計り知れない貢献を果してきた。さらに、最近のゲノムの全解析は、各ゲノムの機能解析を加速し、ビタミン関連物質の様々な生命現象に対する未知なる役割の解明など、ビタミン関連物質の重要性と広がりが大いに予測される。従って、「VICニュースレター」の果たす役割もさらに拡大し、我々ビタミン関連物質に携わる者には、益々の拡充と発展を切に希望するものである。

北海道大学歯学部教授 坂本 亘
〈ビタミン広報センター設立20周年を迎えて〉
ビタミン広報センター設立20周年を迎えられ心より御喜び申し上げます。科学の進歩、とりわけ病気から人間を守る医学の進歩により日本は世界一の長寿国になった。しかしながら、高齢化社会を迎え、高血圧症、脳梗塞、心筋梗塞、糖尿病、骨粗鬆症、ガンなどの生活習慣病を如何に予防するか21世紀の大きな課題となっている。幸いにも厚生省は“健康日本21”を策定し、21世紀における国民の健康づくり運動を展開している。そのスローガン実現への礎には正しい食生活、すなわち医食同源の考えに立ったバランスある栄養素を毎日楽しく摂取し、健康なからだを作られねばならない。ビタミン広報センターがこのような考えに立って健康と栄養についての正しい情報を提供し、明日への健康を守り育てる活動の中心で有り続けることを祈念したい。

大阪医科大学教授 玉井 浩
以前、有名な先生方にまじって私も一度このニュースレターに寄稿したことがあります。ミュンヘンで開催された抗酸化ビタミンの学会に報告したものを中心に臨床データをまとめました。それ以来、ニュースレターには毎号目を通すようにしています。このたび、100号発行に際し、研究者間の情報交流の場としての使命を担って継続されつづけますようお願い申し上げます。

国立がんセンター研究所支所 津金昌一郎
ビタミン、カロテノイド、脂肪酸は、人の健康の維持、特に、生活習慣病の予防において少なからない関連があると考えられています。しかしながら、われわれ日本人にとって、これらの栄養素をどのように活用してゆくのが良いのかについては、日進月歩であると共に、いまだ未知の部分が多いのが現状です。このような状況の中、利用可能な知識を一般や保健関連専門職の人々に正しく伝えるのは、極めて重要な事であります。その意味で、これまでの100回にわたるニュースレターを通じて、ビタミンなどに関する科学的知見を分かりやすく正確に伝えてきたビタミン広報センターの果たしてきた役割は、賞賛に値するものと考えています。今後も、引き続き、その任を果たして頂けることを願うのと同時に、私ども研究者は、ニュースレターで伝えられるに相応の研究成果を挙げるべく努力をしてゆきたく考えています。 

女子栄養大学教授 辻村 卓
貴センター設立20周年、ニュースレター第100号発行おめでとうございます。栄養学部の教員として食生活に関する実験を続け、今は主として「野菜中ビタミン・ミネラル含有量の通年変化」の仕事をしております。今秋発表予定の五訂食品成分表の基礎データとしての面を強く意識し、1988年頃から今日まで実験を続けてまいりました。私どものこのデータを実際に使うかたは(管理)栄養士、病院、給食センターなどの職員のかたがたが主になると思います。学会活動でデータを発表することは大切なことですが、それと同時にビタミン広報センターの機関紙にわかりやすく紹介していただくことや各地方での保健学術講演会(都道府県栄養士会主催への協賛)の開催などは実験内容の説明の場としてはこれ以上のものはなく、貴センターの活動に深い敬意を払っています。今後貴センターの各種活動実績がさらに発展するよう期待して御挨拶といたします。

静岡産業大学教授 富田 勲
〈ビタミンの故郷から〉
米ぬかから、オリザニン(ビタミンB1)が分離され、それが抗脚気因子であることが明らかになったのは1910年、鈴木梅太郎博士(1874〜1943)によってである。博士は静岡県榛原郡堀野新田(現在の相良町)の御出身で、毎年夏、地元では「ビタミンフェスタ」が開かれ、大勢の人でにぎわっている。今年は、上記ビタミンB1発見90年に当ることから、それを記念して「ビタミンの日」の制定にむけ、準備が進められている。病気がすべて細菌や毒素によって起ると考えられていた時代に、それが極めて微量の栄養素の欠乏でも起ることが明らかになった意義は大きい。以来、数々のビタミンあるいはビタミン様因子(機能性因子)が発見され、それらが医薬品や添加物などとして応用され多くの病気を防ぎ、また国民の健康増進に役立って来た。ビタミンが“健康な人のためのくすり”として益々活用されることを祈るとともに、ビタミン広報センターのより一層の発展を期待したい。

宮崎大学助教授 富田純史
私が学生時代(1970年代)に学んだ栄養学におけるビタミンに関する基礎的知識は、それなりに確かなものであり、現在でもほぼ通用すると思う。多くの分野の長い研究の集大成がそこにあった。そのような知識の普及と実戦が、医学の進歩と相まって多くの人々の健康を増進し、わが国を世界に冠たる長寿国と成し得たのであろう。
しかし、1981年に始まるニュースレターの記事を1号から順に読み返してみると、その後20年の間には、多くの先生方が既成の概念に必ずしも縛られることなく新たな領域を開拓して来られたことが良く理解できる。逆にそのことは、私達に研究すべき無限の可能性を示してくれ大いに勇気付けられるのである。
ニュースレターが、これからも最先端の成果や研究の流れを世界的な視野から紹介してゆくことによって、私達はもちろん若い方々や多分野の方々への刺激となればと願っている。

宇都宮大学教授 二木鋭雄
〈ビタミンの研究の発展を期待する〉
近年のビタミンの科学と応用の発展には目を見瞠るものがある。われわれのグループが研究を進めているビタミンEやCの抗酸化作用についても、この20年間に、分子レベル、素反応レベルでの理解が大きく進展した。特に、不均一な反応場における抗酸化ビタミンの作用ダイナミクスについての研究もかなり進んできた。しかし、まだ解明されていないこと、新たに発生してきた問題点、疑問点も少なくない。さらに、抗酸化作用によるもの以外の作用も見出されてきた。ただ、その生理的な重要度については不明で、まだほとんど研究が取り組まれていないというのが現状である。DNAチップを用いた研究も進められており、遺伝子レベルでの解明も期待される。信頼できる、いい研究によりさらに成果があがることを期待している。 

国立健康・栄養研究所 平原文子
〈ヘルスハザードの汚染に対してVICの活動へ益々の期待〉
私達の周囲には健康に関するカタカナ言葉が多く情報は氾濫しており、健康への関心の強さが伺えます。情報の中でもS to S(専門家から専門家へ)やS to M(専門家からマスコミを通じた一般の方へ)など知見の流れには幾つかありますが、方向が明らかにされないままに情報が発信されています。現在はむしろヘルスハザードを招いております。これからは健康維持・増進の指導・管理は個人の時代です。発足二十周年を向かえられこれまでの正しい最新の研究情報の提供の貢献は大きいものがあります。今後もニュースレターを始め、教育講演などの活動においてもS to S及びS to Mに対しても期待されてますので是非、ご継続を希望します。

九州大学医学部名誉教授 廣畑富雄
〈ビタミンと疾病予防〉
ビタミンと慢性疾患(或いは生活習慣病)の予防は、現在世界的に非常にホットな話題になっています。これは私の専門とする疫学の分野でも、ビタミンによる介入研究が、多大な費用と年月を要するにも関わらず、世界的にかなり行われるようになったことからでも明らかです。ビタミンの介入研究とは、ボランティアを幕り、ビタミン投与群と対照群で、疾病発生の差異を検討するものです。この分野の研究は、ホットなテーマだけに数多く報告され、その中から正しい情報を選択し、それを関係者や、一般の人々に提供するのは、容易ではありません。玉石混淆というか、むしろ誤った情報が昨今は氾濫しています。私が感心するのは、ビタミン広報センターが、正しいそして最新の情報を、良心的に提供していらっしゃることです。私はその趣旨に賛同し、協力しましたが、特にBerlinのantioxidantsの国際会議や、個人的に親しいDr.Nomura,Dr.Blotの講演会は記憶に残っています。前者はビタミンの血清疫学的研究、後者はビタミンの介入研究です。今年は早いもので、ビタミン広報センターの創立20周年に当たるとか、これからもビタミンと疾病という重要な分野で、正しい情報の提供に、大きく貢献されるよう願っています。

東京農業大学教授 舛重正一
ビタミン広報センター設立20周年を心から寿ぎます。今世紀末に近付き、世間の求めるものは多様化し、自然科学研究者も困惑する場面が多々あります。その1つは研究内容や成果の社会への開陳と還元の要求でありましょう。良き時代のように象牙の塔的研究は許されなくなっております。これは人類の文化の側面から見れば寂しい限りですが、しかし、今様なのでありましょう。
 VICニュースはビタミン研究のこの部分を埋める役割を果たしてきたと考えます。しかもそれらを合本として発刊してきました。歴史の裏付けのない研究は成立しないと思いますが、この合本はわが国の過去20年間のビタミン研究の歴史書ともなるでしょう。秀逸なのは故島薗順雄先生著の「ビタミン物語」です。大切に次代へと伝えてください。

清恵会病院 院長 美濃 真
 VICニュースレターでの情報有難うございます。大学現職の定年を迎え、4年以上経過しましたが、研究室を持たなくなったものにとりまして、貴重な情報源です。フリーラジカル、抗酸化ビタミンを研究していましたので、その後のアルツハイマー病の進行抑制に対するビタミンEの効果が国際的な評価となっていることや、動脈硬化の臨床指標のホモシスティン高値に対する葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6の関与の軽重などの情報は非常にうれしいです。またATBCやCARETスタディのネガティブ情報以外のネガティブ情報も積極的に知らせていただければ幸いです。リコピンやゼアキサンチンなどが浮上してきていますが、β−カロチンのその後の位置づけはどうなって行くのかぜひ情報を掲載していただければ幸いです。

東北大学大学院教授 宮澤陽夫
いつも最新の情報とおもしろい解説をありがとうございます。ビタミンE、カロチノイド、高度不飽和脂肪酸の栄養機能について、とくに生体膜の過酸化と抗酸化の観点から興味をもって読んでいます。膜脂質の過酸化は、細胞障害、アポトーシス、老化に本質的にかかわりますが、これらの食品成分の働きは重要です。末木さん、海老沼さん、スタッフの皆さん、これからもよろしくお願いします。 

岐阜大学名誉教授 椙山人間栄養学研究センター長 武藤泰敏
此の度びVICニュースレターが100号を迎えたことは誠に喜ばしい限りである。「ビタミン専門委員会」の諸学兄に心から御礼を申し上げる次第である。  
100号はいわば“中〆め”といえるかもしれない。「人生は定年からが面白い」「勉強は定年からが面白い」をモットーにしている者にとって、これからのVIC、いやビタミン学の将来構想は?どのような方向に向って船出をし、そのゴールは何か。生活習慣病の1次予防にとって、ビタミン学の役割は何んなのか――熟考するよい機会と思っている。 

佐賀大学農学部教授
ビタミンC研究委員会委員長 村田 晃 
貴ニュースレターには、ビタミンCに関する情報も多く、参考にしています。私は、第6号に「ビタミンCとガン」について解説しました。
ビタミンC研究委員会は、昨年11月に第100回を迎えましたが、委員会では、ロシュ・ビタミン・ジャパン(株)の特別委員から、いつも貴重な情報を頂いています。また、この5月19日には、VIC20周年記念講演会のために来日された、米国ポーリグ研究所のバルツ・フライ所長と委員との懇談の場を設定して頂いて、米国の新RDA等について話しを伺うことができ、いつも感謝しています。
 わが国のビタミンC所要量は、本年、100mgに引き上げられましたが、米国、フランス、ドイツでも90-110mgに引き上げられます。ビタミンCの所要量の増大は、世界の流れです。
貴ニュースレターのお陰で、ビタミンC、その他のビタミンが健康の維持・増進、生活習慣病の予防に重要であるという認識が高まっています。
後とも、情報提供を宜しく願います。

女子栄養大学大学院教授 安田 和人
VICニュースレター100号の発刊をおよろこび申し上げます。第1号以来、単なるAbstractの羅列や学術誌の転載などでなく、それぞれ領域の研究者を選んで、新しく執筆していただくという方針を貫かれ、最新の情報を偏りなくしかもボリウムのある形でご提供下さったことを、歴代の編集者の方々に深く感謝いたしております。
このニュースレターが担当される分野は真に広大で、ある領域の常識は他の専門家からみれば非常識なことが少なくないと思われます。多くの情報源の中から需要度の高いものをバランスよく選ぶのは、大変な努力を必要とする仕事ですが、今後ともできる限り新しい方々の知見を多くご紹介下さるようにお願いいたします。

山形大学医学部助教授 渡辺敏明
ビタミン広報センターの設立20周年およびVICニュースレター第100号の発行に心からお祝い申し上げます。貴センターのビタミンについての幅広い広報活動には、いつもながら敬服しております。また、個人的には、ビタミンの所要量の策定、食品添加物の申請やサプリメントの上限値設定などの際、いつも資料などをご提供していただき、大変感謝しております。誠に恐縮ですが、この場をお借りして御礼を述べさせて頂きます。現在、ビタミンの重要性がますます認識されています。とくにあまり知られていないビタミンの新しい生理機能については、多くの期待が寄せられています。これから新しい世紀を迎えるにあたり、貴センターにおいては、ビタミン情報の発信地としての役割が、さらに求められてくると思います。そして私どもも貴センターのますますのご発展を期待しております。さらに末木所長、海老沼さんのご活躍とご健康を心からお祈りいたします。 


 

「ビタミン広報センター20周年記念講演会」開催報告ビタミン広報センター

おかげさまで、当センターは1981年設立以来、今年で20周年を迎えました。20周年を記念致しまして、2000年6月16日、有楽町朝日ホールにおきまして「ビタミン広報センター20周年記念講演会」を開催致しました。
講演会では、開会挨拶として、当センター専門委員の一人である細谷憲政氏(東京大学名誉教授)より、現在の日本での「健康」という概念や今後の課題などについてお話いただきました。五十嵐脩氏(茨城キリスト教大学教授)には各ビタミンの効能や潜在性ビタミン欠乏症が懸念されている摂取状況、年施行された第6次改定栄養所要量(食事摂取基準)についてご説明いただきました。また松橋正和氏(東邦大学医学部教授)には、近年日本人にも増加している加齢黄斑変性(AMD)とルテインについて、吉川敏一氏(京都府立医科大学教授)にはビタミンEと心血管系疾病予防の最新の研究結果などについてご講演いただきました。
本講演会では海外からも3名の演者をお招きしました。ドイツのボン大学教授Klaus Pietrzik氏には、B群ビタミンと心血管系疾病予防について、特にホモシステインが重要な因子であると認識されてきたことを中心にご講演いただきました。また、オハイオ州立大学教授SK Clinton氏には、トマト色素として注目をあびているリコペンと疾病予防―特に前立腺癌をはじめ、各部位の癌発症リスクとの関連―について、ライナス・ポーリング研究所長Balz Frei氏には、ビタミンCと疾病予防、特にビタミンCの酸化抑制作用による疾病予防や心臓病との関連を中心にご講演いただきました。 
最後には、当センター設立当初の専門委員であられた東邦大学名誉教授 阿部達夫氏より、日本におけるビタミン研究の始まりなのどのお話をしていただきました。 (各講演内容は講演録としてまとめましたので、ご参照していただきたいと存じます。尚、講演録についてのお問合わせは当センターまでご連絡下さい。)
当日は約400名と多数の方にご出席いただき、また長時間に渡ってご静聴いただきましたこと、厚く御礼申し上げます。今後も、ニュースレターの発行をはじめ、ビタミン・カロテノイド等の正しい情報を普及し、皆様のお役に立てるような活動を進めていく所存でございます。ご指導ご鞭撻の程、何卒よろしくお願い申し上げます。 
 

 
 

葉酸摂取による血中ホモシステイン濃度の減少

(The New Eng. J. Med.1998,338;15,1009-1015より)

 
試験地:アメリカ
被験者:虚血性心疾患と診断された患者75名(45-85歳、男女)
試験計画:DBT法(図1
朝食シリアル摂取量:30g(ビタミンC、E、B1、B2、B6、パントテン酸、ナイアシン、鉄、亜鉛の1RDA量とビタミンAのRDAの25%量、ビタミンDのRDAの10%量を含有)
A群(24名):葉酸127μg強化 ビタミンB6 1.8mg
B群(25名):葉酸499μg強化 ビタミンB12 6.1mg
C群(26名):葉酸665μg強化
結  果:葉酸強化量に応じて、血中葉酸濃度が上昇すると共に、血中ホモシステイン濃度は減少して、逆相関濃度依存的傾向を示した。例えば、葉酸665μg強化食で、血中葉酸は105.7%増加、血中ホモシステイン濃度は14.0%減少 
図1 試験計画 
 


 
 

葉酸200μg摂取で血中ホモシステイン濃度上昇を抑制 

(J.Am.Colle.Nutr. 2000;19:452-457より)
試験地:アメリカ 被験者:79名(1日に100〜400μgの葉酸を強化したシリアルを食することで、血中ホモシステイン濃度の上昇を抑制している集団) 
試験計画:対照群:10μg/日以下の葉酸が含まれている朝食シリアルを食する 
試験群:200μg/日の葉酸が含まれている朝食シリアルを食する 
結  果:200μg/日の葉酸を含む朝食シリアル摂食群で、血中ホモシステイン濃度の正常域を維持

 
 

MAFFからの葉酸に関する最新研究の報告 

(British Nutrition Foundation Nutrition Bulletrin,25,113-124より)
イギリス栄養財団(British Nutrition Foundation)は、MAFF(農水食品省)から、下記の葉酸に関する5つのプロジェクトを遂行するようにとの指示を提案した。  
1)食事由来葉酸、ホモシステイン、内皮機能について: メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)遺伝
   子発現の相互作用に関する研究  
2)血中ホモシステイン濃度低減効果の介入試験、食事由来葉酸とサプリメントからの葉酸摂取の比較  3)安定放射性同位体マススペクトル法による、食品中の葉酸の生物学的利用度の定量的研究  
4)合成葉酸は体内葉酸レベルを上げるのに食事由来葉酸より効果的であることについての研究  
   研究

 
 

レチノイド実験用モデルのサルを用いた

ビタミンAによる催奇形成とリスク評価 

(Peproductive Toxicology 14 ,311-323,2000より)
ビタミンA過剰による、胎児の催奇形成についての臨床的・疫学的データは少ない。そこで、妊娠期における安全な摂取量を想定するために、適切な動物モデルの使用が望まれる。本研究では、ヒト胎児の発達とよく似ている経過を示すため、使用するにふさわしいと証明されている、cynomolgus monkey(Macaca fascicularis)を用いた。このcynomolgus macaque(マカク)は13-シス-レチノイン酸(13-シス-RA)による催奇形成における研究に適している。
用量と投与期間 
ビタミンAパルミテート:GD(妊娠期間)16〜27日間   
コントロール群:15匹   7500IU/kg投与群:25匹 20,000IU/kg投与群:26匹 40,000IU/kg投与群:8匹   80,000IU/kg投与群:29匹 13-シス-レチノイン酸:GD(妊娠期間)16〜27日間   
コントロール群:6匹  0.5mg/kg投与群:19匹   5.0mg/kg投与群:7匹 
結果 
〈胎児への影響〉  
サル妊娠中における原腸胚形成期や器官形成期のビタミンA高用量投与試験では、用量依存的に未熟児や胎児奇形など、発育上での悪影響がみられた(表1)。組織欠損のほとんどは妊娠早期でみられた。(GD18-30;62%、GD31-45;28%)
 レチノール誘発性奇形の最初のターゲットは頭蓋顔面の部分である。外耳は最も頻繁にみられ(8つの奇形のうち6つ)、方側または両耳の欠損がみられた。これらの欠損は咽頭の口蓋弓が2段階によっておこり、第一段階は耳輪、耳輪脚、第二段階は耳介隆起、対耳輪脚、小葉、対耳珠である。外耳道の欠損なども、低い発症率で観察された。その他、頭蓋顔面で影響がみられる部位は、下顎形成不全や頬骨の形成不全・異形、鼓室輪(形成不全)、中耳骨(槌骨・砧骨・鐙骨の異形)である。また、目(開眼、形成不全)、上顎骨(形成不全)、鼻形成不全、口蓋弓・口蓋裂、蝶形骨翼などもレチノールによる中毒症状でよく観察される。
〈13-シス-レチノイン酸投与による影響〉  
13-シス-レチノイン酸の高用量(5mg/kg)により、発育への悪影響がみられた。妊娠後33-35日間に未熟児の有意な増加(43%)がみられ、さらに4匹全ての生存している胎児には、1つあるいはそれ以上のレチノイド胚胎病による奇形が観察された。(表2)

 
 
 
ビタミン広報センターが1981年に発足すると同時に、ニュースレターが定期的に発行され、1986年にはISSN番号も取得してきました。 
日本でのビタミン・カロテノイドの最新研究や世界で発表されたビタミン・カロテノイドの紹介を中心に、最近は栄養に関する国内外の学会情報、多価不飽和脂肪酸、紫外線吸収剤の記事も掲載されております。 今号で100号の刊行となりますが、これだけ定期的に長く継続されてきましたのは、日本ビタミン学会を中心とした諸先生方の執筆ご協力、その他陰からのご支援のおかげと存じております。
阿部達夫、故稲垣長典専門委員の諸先生方、歴代ビタミン広報センター長の伊藤仁氏、植木宜彦氏、また法専(旧姓:堀岡)知子氏、遠山典子氏の在任時のご尽力に感謝しております。 
今後とも、ますます内容を充実して、ビタミン広報センターの活動趣旨に基づいたニュースレターを発行いたす所存でございます。 (なお、101号からは、インターネットでの配信が主になる予定でございます。)
ビタミン広報センター
センター長 末木 一夫
海老沼 春世
お願い  
ニュースレターの宛先の変更、削除につきましては誠にお手数ですが、宛て名シールの番号を明記の上、郵便又はFaxにてご連絡下さいます様お願い申し上げます。

 
ビタミン広報センター(略称 VIC)は、国内外に於ける最新のビタミン研究の成果を科学的に正確に保健、栄養関係者および消費者の皆様に提供しております。当センターは1981年に設立されました。 大田区大森北1−6−8 〒143-0016 Tel(03)5763−4119 Fax(03)5763−4121