2001年1月 No.101

カロテノイドと口腔前がん病変との関連について

─口腔白板症の血清中カロテノイド─

愛知学院大学 歯学部口腔外科第二講座  講師 長尾 徹 

長尾 徹氏



〈要旨〉
     口腔白板症は口腔がんを発症するリスクを有することから、前がん病変の一つとして位置づけられている。我々は住民ベースの口腔がん健診で口腔白板症を有する住民の血清中微量栄養素を測定し、男性の血清ベーターカロテン値がコントロール群と比べ有意に低下していることを確認した。ここでは口腔前がん病変の発症に低血清カロテノイドが関与している可能性を明らかにした知見を紹介する。
T Nagao et al: Serum antioxidant micronutrients and the risk of oral leu koplakia among Japanese inhabitants. Eur J Cancer B Oral Oncol 2000;36B:466-470. 

   口腔がんやその他のがん発症のリスクは緑黄色野菜やフルーツの低摂取と関係があり、レチノール、β-カロテン、ビタミンEの血清中微量栄養素の増加により低下することが多くの疫学研究などで明らかにされている。口腔がんにおいてもZhengらは血清中のβ-カロテンなどの高カロテノイド値は、口腔がん発症のリスク低下と強い関連があることを報告している。一方、口腔前がん病変の治療に対してレチノールなどのレチノイドやβ-カロテンなどのカロテノイドの使用が従来から試みられている。口腔粘膜に発症する角化病変の一つである口腔白板症は、その5〜15%が将来がん化する可能性があることから、口腔前がん病変として位置付けられている重要な疾患である。しかしながら口腔白板症患者の血清中抗酸化栄養素を健常者と比較した疫学研究はまだ行われていない。そこで我々は口腔白板症と血清中のこれら微量栄養素との関係を明らかにするため、住民ベースの症例対照研究による疫学研究を計画した。

対象および方法
対象は1995年から1998年の3年間に愛知県T市の一般住民健康診断受診者(40歳以上)において口腔がん検診を実施し、口腔白板症として検出され、その後の精密検査で陽性と診断された48例(男性:38例、62.4±10.0才、女性:10例、62.1±10.7才)とした。すべての検診参加者は自記式問診票により喫煙、飲酒に関する質問を受けた。検診と同時に採取された血液は遠沈分離し、血清をー80℃に保存した。ケースとコントロールは、1ケースに対して検診で陰性と診断された群から性と年令をマッチさせた4例をコントロールとして抽出した。そして血清中のレチノール、α-トコフェロールや、ゼアキサンチン/ルテイン、クリプトキサンチン、リコピン、α-カロテン、β-カロテンなどのカロテノイドの微量栄養素をHPLC法で測定した。測定結果は男女別に分けてt検定およびロジスティック回帰分析にて統計学的処理を行った。喫煙、飲酒習慣についての各群のベースラインデーターの検体はカイ二乗検定を行った。 

   結果
男女ともケースとコントロール間における喫煙、飲酒習慣を有する者の分布は統計学的に有意差は示されなかった。男性の血清中微量栄養素を表1に示す。白板症ではβ-カロテン(p<0.005)、リコピン(p<0.05)が統計学的に有意な低値を得た。これに対してゼアキサンチン/ルテインやクリプトキサンチンは白板症で高値を得て、特にゼアキサンチン/ルテインは統計学的な有意差が示された(p<0.05)。その他の栄養素に関しては有意差は認められなかった。一方、女性においてはいずれの栄養素についても両群間で有意差は認められなかった。男性において白板症を従属変数とし、飲酒、喫煙、血清カロテノイド値を独立変数としたロジスティック回帰分析の結果では、β-カロテンが白板症の低リスク要因(オッズ比:0.16, 95%信頼区間:0.032-0.846)となりうることが推定された(表2)。

考察
住民ベースの疫学調査による本研究の結果から、男性の口腔白板症で低血清ベーターカロテン値、低リコピン値を認め、多変量解析で高血清ベーターカロテンが口腔白板症の発症リスクを下げることが示唆された。一方、レチノールは本症との関連が示されなかったことから、β-カロテンはビタミンAへの変換なしに発症リスクを下げると考えられた。本結果はβ-カロテンが口腔白板症に対して従来から口腔前がん病変に臨床応用されているレチノールやα-トコフェロールよりも、より有力な化学予防剤であることを示唆している。このことから我々は今後口腔前がん病変に対してβ-カロテンを主体とした化学予防による臨床介入研究を計画している。

共同研究者の伊藤宜則教授(藤田保健衛生大学)に深甚なる感謝を申し上げます。 

〈学会情報〉
●世界お茶まつり
 World O-CHA (tea) Festival
 2001年10月6日(土)〜14日(日)
静岡県コンベンションアーツセンター「グランシップ」
 Shizuoka Convention & Arts Center “GRANSHIP”
 O-CHA2001国際会議(International Tea Conference)etc
 TEL : 054-221-3325, FAX : 054-221-2299
●International Symposium on FUNCTIONAL FOODS
 Scientific and Global Perspectives 17-19 October 2001, Paris, France.
 ILSI-Europe Tel : (322)771 0014
 Fax : (322)762 0044 e-mail : functional.  sympo@ilsieurope.be www.ilsi.org
●June 10-12, 2001
 10th Annual Retreat of Functional Foods for Health Program, Chicago. Contact FFH Program, University of Illinois, 1302 W Pennsylvania Avcnue, 103 ABL M/C 640, Urbaoa, H, 61801. (217) 333-6304. Fax: 217 333-7386. E-mail: hariss@uiuc.edu.
●July 7-7, 2001
 Homocysieine Metabolism, 3rd International Conference, Sorrento, Italy. Contact the Organizing Sccretariat, Convention Planning S.A.S, Via Fuorimura 20. 80067 Sorrento, Naples, Italy. +3908 1 8071981. Fax: +3908 1 8073039. E-mail: homocysteinesorrcnto@conbentionplanning.it.Internet: http://www.conventionplanning.it/homocysteine.
●August 27-31, 2001
 17th International Congress of Nutrition: Modern Aspects of Nutrition--Present Knouledge and Future Perspectives, Vienna Under the auspices of the International Union of Nutritional Sciences. Call for abstracts September 2000, due December 31, 2001. Contact I Elmadfa. Institute of Nutritional Sciences, University of Vienna, Althanstr 14(Pharaziezentrum).
A-1090 Vienna, Austria. +43 1 313 36 82 13. Fax: +43 1 313 36 773. E-mail: ibrahim.clmadfa@univie.ac.at. Internet: http://www. univie.ac.al/ iuns2001/.
●日本ビタミン学会 第53回大会
 2000年5月24日−25日
 兵庫県立 淡路夢舞台国際会議場
 Tel : 075-751-0314
 

〈参考文献〉
1)Ziegler RG. A review of epidemiologic evidence that carotenoids reduce risk of cancer. J Nutr 1989;119:116-122.
2)Wattenberg LW. Chemoprevention and cancer. Cancer Res 1985;45:1-8.
3)Zheng W,Blot WJ, Diamond EL, et al. Serum micronutrients and the subs equent risk of oral and pharyngeal cancer. Cancer Res 1993;53:795-8.
4)Garawell HS,Katz RV,Meyskens F, et al. 

Beta-carotene produces sustained remissions in patients with oral leukoplakia: results of a multicenter prospective trial. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 1999;125:1305-10.
 

ビタミン広報センター(略称 VIC)は、国内外に於ける最新のビタミン研究の成果を科学的に正確に保健、栄養関係者および消費者の皆様に提供しております。当センターは1981年に設立されました。


 
栄養補助食品について

茨城キリスト教大学 教授 五十嵐 脩

日本では、栄養補助食品、いわゆるサプリメントは単なる食品の1つとして扱われてきた。そのため、栄養成分の機能表示などはできず、含まれている成分を含量と共に表示できるに過ぎなかった。しかし、アメリカをはじめとする諸外国で、ビタミン・ミネラルが薬品から食品に分類されたことから、サプリメントの取り扱いが、関税障壁の問題も含めて国際的な問題となり、わが国も国際協調の立場から1999年度において、厚生省での分科会において審議され、従来からの特定保健用食品も含めて、その対応を協議し、提言をまとめた。その具体化のために、2000年度に新たに分科会を設置し、審議を進めてきた。その結果、表1に示すように、栄養補助食品という名称は使わず、全体を保健機能食品とし、その中を個別評価型の特定保健用食品と規格基準型の栄養機能食品の2つとすることとした。しかも、食品形態のものも、カプセル、錠剤などの形態のものもいずれの分類にも含まれることとし、剤形での規制は撤廃することにした。個別評価型の特定保健用食品では、栄養成分表示、栄養成分機能表示、保健の用途などが記載できるが、後者の栄養機能食品では、保健の用途は記載できず、栄養成分表示、栄養成分表示に限ることにした。本分科会では、どのような成分の食品をどのタイプに当てはめるかが議論の対象となったが、特定保健用食品は従来と近い形での審査で個別評価していくが、栄養機能食品については、当面ビタミンとミネラルに限ることとした。また、ビタミンの中では、ビタミンKがわが国ではビタミン剤への使用が認められていない現状から、今後の審議にまつことにした。ミネラルについては、カルシウムと鉄は現在でも不足傾向にある元素なので、認めたが、それ以外の微量元素については、栄養所要量は決められているがその摂取量の現状が不明なこと、多くの微量元素は用量が多いと毒性を示すことから、今回は対象から外した。11月1日現在の原案では、ビタミン12種、カルシウム、鉄の栄養機能食品での最大含量と最低含量も設定されたが、いずれも医薬部外品の量を最大含量とし、最低量は栄養所要量の1/3とした(ナイアシンだけは許容上限摂取量−栄養所要量で15mg)。この数値設定の根拠は明確ではないし、医薬部外品の最高含量の決め方にも問題点があるとの指摘もあり、今後諸外国との協議、今後の医薬部外品の再検討の中で、変更されるものと考えられる。表2は上記の時点での栄養機能食品のビタミン、ミネラルの最大含量を示した。なお、本分科会では、保健機能食品にのみ用いる食品添加物として、ビタミン、ミネラルについて、従来の食品添加物の申請よりも若干ゆるい審査で許可できるような審査手順も決定し、特定保健用食品の申請・評価・表示についての指針も設定した。 


 
 
 
血清ビタミンC濃度と卒中発症率との関係
(横山 徹繭ら、Stroke Oct.2000より)

疫学調査では、ビタミンCは卒中リスクを低減する可能性があることが報告されている。本研究では血清ビタミンC濃度と卒中発症との関連について調査した。

調査地:日本 新潟県新発田地区
対象者:40歳以上の男女2121名(男性880名、女性1241名)
     追跡調査中に、ビタミンサプリメントを摂取した者はいない。
調査年数:20年間の追跡調査(1977-1997年)
結  果:卒中発症:196名(脳梗塞109名、出血性卒中54名、その他33名)
     血清ビタミンC濃度と卒中・脳梗塞・出血性卒中との間に強い逆相関関係がみられた。
     また、血圧とも弱い逆相関関係があった。


 
 
 
酸化ストレスと加齢黄斑変性
(Stephen Beattyほか, Survey of Ophtalmology Vol.45 No.2, 115-134より)
    加齢黄斑変性(AMD: Age related macular degeneration)は発展途上国において盲目の原因となっているが、まだあまりよく理解されてはいない。活性酸素種により細胞傷害をおこす酸化ストレスは、多くの疾病、特に加齢性疾患の進展を引き起こしている。フリーラジカル、過酸化水素、一重項酸素などの活性酸素種は酸素の代謝産物である。網膜は多価不飽和脂肪酸が多く、紫外線に暴露されているため、酸化ストレスを受けやすい。試験管内試験では、光化学による網膜傷害は酸化ストレスによるもので、ビタミンA、C、Eの抗酸化ビタミンにより防御される。さらに、リポフスチンは、光受容体外部部分が酸化ダメージを受けることにより形成され、それ自身も感光物質であることが証明されている。  高α-トコフェロール血漿による効果についての報告はあるが、抗酸化ビタミンの食事からの摂取および血清レベルとAMDとの関連は明らかでない。黄斑色素もまた、紫外線の吸収や活性酸素消去により、網膜を酸化ダメージから保護していると考えられている。推定される多くのAMDの危険因子(女性、水晶体密度、喫煙、視力低下)は黄斑色素不足と関連している。
また、Eye Disease Case-Control Studyでは、血漿中ルテイン、ゼアキサンチン濃度が高濃度であると、新生血管型AMDの発症リスク減少につながるとの結果がでている。AMDは酸化ストレスの蓄積により発症すると考えられるが、まだ証明されてはいない。 

 
 
 

アメリカにおける食生活ガイドライン 

America Heart Association(アメリカ心臓協会)より
報告された2000年改訂版(Circulation Oct.31, 2000より)
要旨
     American Heart Association(AHA)は、心血管疾患の発病や再発を予防し、全身の健康を促進することを目的とした生活習慣の促進に長年取り組んでいる。この使命の重要な要素は、入手し得る最善の科学的証拠に基づくアメリカ国民のための食生活ガイドラインを提供することである。本ガイドラインは、何十年もの研究調査に裏付けられた心血管疾患の予防及び治療に関する全人口を対象とした推奨の中核的要素を形成する。また、本改訂版ガイドラインは、具体的な推奨を行うために十分な科学的証拠がないと考えられる問題を含む多数の重要な付随的問題等についても概説する。
 本ガイドラインの基本原則は次の3つである。
 ・心血管および全身の健康を維持するための基礎として、すべての人が一生を通じて行うことができる食生活その他の生活習慣が存在する。
 ・健康な食生活は、1度の食事ではなく、長期間にわたる食品の全体的な摂取パターンに基づいている。
 ・本ガイドラインは、各人の健康状態、食物の嗜好、及び文化的背景に基づき、各人に合わせた具体的な食事に関する推奨を、本ガイドラインの範囲内で行うことができる枠組みとなる。
 本ガイドラインは、各人が次の事柄を達成し維持するうえで助けとなるように設計されている。
 

各項目ガイドラインの要約
各主要食品群からの食品摂取を含む、健康な食生活の達成及び維持
・多種の果物・野菜、全穀を含む穀類を摂取する。
・無脂肪・低脂肪食品や、魚類、豆類、鳥類、赤身の肉を摂取する。
体重の調節
・エネルギーの必要以上の摂取;糖を多量に含む食品などの、高エネルギー・低栄養食品摂取の制限
・エネルギー摂取に見合ったエネルギー消費のための、運動や身体活動;減量するには摂取量よりも消費量を多くする。
血中コレステロールとリポたんぱく質の調節
・飽和脂肪酸やコレステロールを多く含む食品の摂取制限
・穀類と野菜・魚類・豆類・ナッツ類の不飽和脂肪酸からの摂取
 

健常者に対するガイドライン
〈各主要食品群からの食品摂取を含む食生活の達成及び維持〉
 a.一般原則
  必須栄養素の適量摂取と同時に、エネルギー消費量とつりあったエネルギーを摂取することは、健康を維持し、心血管疾患、卒中、高血圧、及び肥満の予防又は発病の遅延に不可欠である。同じ食品群内の食品だけでなく、1つ1つの食品でも栄養素の含有量に差がある。既知の必須栄養素をすべて含有する食品はない。各食品群に属する食品を摂取することは、すべての栄養素の必要量を確実に満たすうえで必要である。AHAは、すべての食品群に属するさまざまな食品を含み、果物及び野菜、無脂肪及び低脂肪の乳製品、シリアル及び穀物製品、豆類及びナッツ類、並びに魚類、鳥肉、及び脂肪分の少ない肉を多く含む食事をとることを強く支持する。このようなアプローチは、バラエティーに富んだ食生活につながる。 

  エネルギー必要量を超えずに十分な栄養素を確実に摂取するため、皿数及び1皿の量を調整すべきである。AHAは、健康な人は十分な栄養素を食物から摂取することを推奨する。ビタミン及びミネラルの補助食品は、果物、野菜、及び穀物を多く摂取できるようにデザインされたバランスのよい栄養のある食事の代わりにはならない。以下の各節で述べるように、食品の過剰摂取、特に飽和脂肪、糖分、塩分が多い食品の過剰摂取は避けるべきである。
 b.具体的ガイドライン
 1)さまざまな果物及び野菜を1日5皿以上摂取せよ
   AHAは、食事及び間食として、1日を通じてさまざまな果物及び野菜を含む食事をとることを強く支持する。果物及び野菜は栄養素及び線維を豊富に含み、比較的カロリーは低いため、栄養密度が高い。果物及び野菜の摂取量が多い食生活では、心臓病、卒中、及び高血圧のリスクが低くなる。さまざまな果物及び野菜(特に濃い緑色、濃いオレンジ色、又は黄色のもの)を習慣的に摂取することは、この食品群に通常含まれる微量栄養素を十分に摂取するうえで有益である。また、果物及び野菜は水分が多いため、エネルギー密度が低い。エネルギー密度が低い食品を代わりに摂取することは、エネルギー摂取量の抑制に有益であり、体重管理にも役立つ。また十分な線維を確実に摂取するためには、果汁よりも果物や野菜をまるごと食べる方が望ましい。
 2)未精白の穀物などのさまざまな穀物製品を1日6皿以上摂取せよ
   穀物製品からは、さまざまな炭水化物、ビタミン、ミネラル、及び線維を摂取することができる。穀物製品及び線維の摂取量が多い食生活では、心血管疾患のリスクが低下する。デンプン(多糖類)を多く含む食品(例:パン、パスタ、シリアル、馬鈴薯)は、糖類(単糖類及び二糖類)より望ましい。未精白の穀物及び栄養強化デンプン類の摂取源となる食品(シリアルなど)を、食事の主要なカロリー源とすべきである。
   可溶性線維(特にβ-グルカン及びペクチン)は、飽和脂肪及びコレステロールが少ない食事により得られる総コレステロール及びLDLコレステロール値よりさらにもう少しこれらの値を低下させる。さらに、食物線維は胃腸が空になるのを遅らせることにより満腹感をもたらし、カロリー摂取と体重を調節する助けとなる。穀物、野菜、果物、豆類、及びナッツ類は良い線維源である。十分なデータがないので具体的な線維の目標摂取量を推奨することはできないが、上記の食品の推奨量を摂取した場合、線維の摂取量は1日25g以上となる。
 
血中コレステロールとリポたんぱく質の調節のためのガイドライン
 b.具体的ガイドライン
  穀物及び魚類、野菜、豆類、ナッツ類からの不飽和脂肪酸からの摂取
  飽和脂肪酸及びトランス型脂肪酸の摂取量を制限すると、総エネルギー摂取量を減らす必要がない限り、その他の栄養素で置き換える必要がある。LDLコレステロールを減らすことは、飽和脂肪を炭水化物又は不飽和脂肪で置き換えるという意味で、類似している。また、ある種の可溶性線維(例:オート麦製品、オオバコ、ペクチン、グァーガム)は、特に高コレステロール血症の人のLDLコレステロールを低下させる。最近行われたメタ解析の結論によると、上記の摂取源からの可溶性線維の摂取量が1g増加するごとに、LDLコレステロールは平均2.2mg/dL低下することが期待されるという。
  しかし、体重減少がない場合、総炭水化物量(例:エネルギー比率60%以上)が多い食事は、トリグリセリドの上昇及びHDLコレステロールの低下につながり、このような影響は心血管疾患のリスク増加に関連性を有する。この変化は、炭水化物を主に未加工のまるごとの食品から摂取する線維の多い食事をとると緩和させることができ、オリゴ糖やデンプンより単糖類(特に果糖)を摂取するとさらにひどくなる
  上記の代謝への影響は、飽和脂肪を一価不飽和脂肪又は多価不飽和脂肪(例:植物油)で置き換えれば起こらない。後述するように、不飽和脂肪酸が多い食事は炭水化物が多い食事よりも、HDLコレステロールの低下、トリグリセリドの上昇、LDLの小型濃密化を特徴とする粥腫形成性異常脂肪血症をコントロールするうえで特に有益である。この異常脂肪血症は、インスリン耐性でU型糖尿病の人によく見られる。食事が上記の脂質パラメーターにもたらす変化が心血管疾患のリスクに直接的影響を与えるということは証明されていないが、不飽和脂肪酸が比較的多い食事は、このようなリポたんぱくの変化を起こしやすい患者の代謝プロフィールを最適化するうえで、高炭水化物食に代わる合理的な選択肢である。 
  ω-3多価不飽和脂肪酸、具体的にはEPA及びDHAが多い食品は、血中リポたんぱく質の改善による心臓保護効果よりさらに高い心臓保護効果を有することを示す報告が増加している。主な有益作用は、突然死の減少、不整脈のリスク低下、血漿トリグリセリド値の低下、血栓形成の低下などである。疫学的研究からは、別のω-3脂肪酸であるα-リノレン酸が、女性の心筋梗塞及び致死的虚血性心疾患のリスクを低下させるという報告が多少でてきている。最近行われたいくつかの無作為対照試験は、α-リノレン酸及び海産物のω-3脂肪酸が、冠動脈性疾患の有病率及び冠動脈性疾患患者の死亡率に有益な効果を有することを示している。現在、ω-3脂肪酸の摂取量は一般に低いが、ω-3脂肪酸は冠動脈性疾患のリスクを低下させるだけでなく、炎症性疾患や自己免疫疾患など、冠動脈性疾患以外の疾患にも有益な作用を有することから、摂取量を増加させるべきである。ω-3脂肪酸の摂取源となる食品は、魚類、特に鮭などの多脂魚や、亜麻仁、亜麻仁油、カノーラ油、大豆油、ナッツ類などの植物である。心臓保護効果を得るためには、1週間に最低2サービングの魚類摂取が推奨される。 

 
   ホームページ開設のお知らせ

日頃よりニュースレターをご愛読いただきまして、誠にありがとうございます。
さて、以前よりお知らせしておりますように、ビタミン広報センターでは2001年1月よりホームページを開設致します。
 


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当センターホームページでは、本ニュースレターを中心にビタミン・カロテノイド等の情報を掲載していく予定です。最新の情報をご提供するために、随時更新をしていく予定ですので、是非ご覧いただければと存じます。
今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。


 

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