1998年7月 No.91

第1回中日国際ビタミン会議報告

三重大学生物資源学部教授   田口 寛

はじめに
    第1回中日国際ビタミン会議が中国予防医学会と日本ビタミン学会の協同作業で4月14日〜17日、北京で開催されました。
総参加者は182名で日本からは42名が参加され、29題の特別・一般講演がなされました。
会期中開催されました、合同組織委員会で第2回目も、2−4年後に中国で開催することが決まりました。 

標記の国際会議が、1998年4月14日(火)〜17日(金)の4日間にわたって、中国の北京市内にあります建銀大厦(Jianyin Hotel)で開催されました。そのメイン会場の様子を写真1に示します。
この会議は、中国の予防医学会から日本ビタミン学会へ『中国ビタミン学会の設立』と、それに先だつ『中日国際ビタミン会議の開催』に協力の要請があったことに始まります。そして中国側と日本側で、それぞれ3名の国際会議組織委員が選ばれました。日本側の組織委員の代表者は、日本ビタミン学会会長の美濃真先生で、残りの委員は、玉井浩先生(大阪医大教授)と筆者です。
この会議中に配布されました参加者名簿では、参加者数は、中国側138名、日本側42名、その他の国2名(ビッグ・スポンサーであるエフ・ホフマン・ラ・ロシュ社の人)の総計182名でした。初日の14日は、参加登録と夕方からの歓迎レセプションのみで、実際の研究発表は、15日の朝から17日の昼までの間に行われました。 
発表演題数は、特別講演(Plenary Lecture)が中国側16題、日本側17題、その他の国2題の総計35題であり、一般講演(Workshop)は、中国側29題、日本側12題の総計41題でした。ポスターは、10題くらい掲示されていただけで低調でした。
特別講演は、以下のように分類されていました。かっこの中の数字は、演題総数で、左が中国側、右が日本側のものです。@世界の最新のビタミン研究の動向(2、5、他1)、A各国のビタミンと栄養の状況(2、0)、Bビタミンの分析法(1、0)、Cビタミンと分子生物学の研究 そのT(5、0)、Dビタミンと老化(2、1)、Eビタミンとがん予防(0、3)、Fビタミンと免疫(0、2)、Gビタミンと新生児栄養(1、1)、Hビタミン含有食品の研究(1、0、他1)、Iビタミン欠乏もしくはビタミン乱用の研究(3、2)、Jバイオファクター(0、1)、Kビタミンと分子生物学の研究 そのU(0、2)。

写真1.学会メイン会場の様子 

一般講演については、次のように分類されており、発表演題数を同様に集計しました。@栄養と食物(8、3)、A免疫学・感染・炎症(8、1)、Bビタミン欠乏と病気(7、7)、Cビタミンとがん予防(6、1)。
さらに、講演の内容を、講演要旨集を全部調べて、特別講演と一般講演を合わせて各ビタミン毎に集計した結果を、お知らせします。1つの講演の中に2〜3種類のビタミンが含まれている場合には、それぞれのビタミン毎に1題とカウントしております。中国側では多い順に、ビタミンA(カロチノイド類を含む):25、ビタミンC:11、ビタミンE:9、ビタミンB2:7、ビタミンD:6、多種の複合:3、ビタミンB1:2でした。同様に日本側は、ビタミンE:10、ビタミンD:6、ビタミンA(カロチノイド類を含む):5、ビタミンB6:4、ビタミンB1:3、ビタミンC:3、ナイアシン:2、多種の複合:2でした。これ以外のビタミンについては、それ単独としての発表が全くないか、1題のみでした。
中国の人は、質疑応答も活発で、とても勉強熱心なのが印象的でした。そして、研究の分野は、特定のビタミン(特にビタミンA・カロチノイド類)に偏っているようです。 
最終日である17日の午後は、共同研究を希望する中国の研究者と日本の研究者との話し合いが個別に16時過ぎまで、非常に活発に行われました。筆者の場合、その後もE-mailで連絡しあっております。今後ビタミンに関する日中の共同研究が多数開始されることでしょう。
以上が今回の第1回会議の要点ですが、当初は、うまくやれるかどうか、かなり心配しておりましたが、実際にはほぼスムーズに進行し、予想をはるかに上回る成果が上がって、十分に成功したと言える結果になりました。そのために、私たち組織委員としましても、たいへん喜んでおります。皆様のご協力に心から感謝します。
日本ビタミン学会は、設立されて本年でちょうど50周年という記念すべき年になりますが、中国にはまだビタミン学会がなく、中国の予防医学会を中心にして、早急に中国ビタミン学会を創設すべく、目下鋭意努力中とのことであります。1〜2年以内には、それができるものと期待しております。次回の第2回中日国際ビタミン会議は、2〜4年後に中国(たとえば上海や桂林など)で開催することを、両国の合同組織委員会で決めましたので、次回もどうぞよろしくご協力のほどをお願いします。
最後になりましたが、賛助をいただきました各社に厚くお礼を申し上げます。 

 

第50回日本ビタミン学会のトピックス 

第50回記念大会を迎えた日本ビタミン学会が、5月28日〜30日の間京都にて開催された。期間中、特別記念講演、受賞講演、シンポジウム等が行われたが、一般研究発表では、演題も121題と非常に多く、各ビタミン関連の基礎的研究から応用、臨床研究まで幅広く興味深い発表が行われた。
一般研究におけるビオチンに関する研究発表では、ビオチンの母乳中での重要な役割から、糖尿病との関連など興味深い発表が相次いであった。
一つに、ビオチンの欠乏が乳児の疾患と関連があり、ビオチンが成長因子として胎児の発育に重要であることが既に報告されている。特に、乳児の発育には欠かせない、母乳あるいは、調整粉乳(乳児用・フォローアップ用ミルクおよび特殊ミルク)中のビオチン含量は、重要なビオチン補給源として重要である。
すなわち、成乳中の総ビオチン量が、平均1.32μg/100mlであるのに対し、国内の育児用ミルク11品目の平均は、0.69μg /100mlで米国の1.71μgと比べおよそ1μgも低い値であった。乳児用では、0.59μgとさらに低かった。
ビオチンが欠乏すると、乳児ではアトピー性皮膚炎や、おむつかぶれ様発疹などが発症するとの報告もあり、微量栄養素としてのビオチンの働きは、重要である。
現在ビオチンは、医薬品原料としての重要性は認められているものの、残念ながら我が国では、微量栄養素としての重要性がまだ一般的でない感がある。すなわち、ビオチンは国内では食品添加物としての許可がなく、育粉や栄養補助食品あるいは一般の食品に使用出来ないのが現状である。
従って、これらビオチンに関する貴重な研究発表をベースに、行政へも働きかけ、ビオチンの重要性をもっと認識してもらうことも必要かと考える。 
また、葉酸に関する研究では、摂取量と血中濃度についての報告があった。葉酸はアミノ酸の代謝に関与しているビタミンであり、神経管欠損症(NTD)の予防に重要な役割を果たしていることが知られている。このため、米国では20歳代の女性の所要量を180μg/日と定めているのに対し、妊婦には400μg/日という数値を設定している。しかし、日本ではまだ所要量は設定されていない。
女子大学生を対象に、3日間の食事調査を行い、摂取量を算出した結果192±80μg/日であった。この中で米国の所要量を満たしている人は45%にすぎなかった。ただし、日本では食品成分表に葉酸の含量は記載されていないので、米国の成分表を用いて摂取量を算出している。また血清葉酸濃度を測定すると、所要量充足者の平均値の方が、集団全体の平均値よりもわずかに高い値であった。
血液透析患者の血清中葉酸濃度についての研究発表もあった。血液透析中は、塩分、たんぱく質などの制限食を長期間摂取しているので、ビタミン摂取量にも偏りがみられ、補給の必要性についても検討しなければならない。
血液透析前後の血清葉酸濃度を測定した結果、透析前は米国のRDAを満たしている健常者と大きな差はなかったが、透析後は、透析前より有意に低下した。このため、腸内細菌の合成によるものも利用されるので欠乏は起こらないとされている葉酸の補給の必要性が示唆された。
日本でも、葉酸の摂取量を把握していくためにも、食品成分表の作成を進める必要があり、NTD等の予防のためにも、所要量の検討等について、早急な対応が望まれる。 (文責 編集) 

 
 

冠状動脈疾患
高コレステロール血症における、にんにく及び魚油の組合せ
(PUFA NewsLetterより) 

幾つかの研究は、魚油が心疾患の危険因子の1つである血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL)値を上昇させることを示している。一方で、幾つかの研究において、にんにくは総コレステロールを減少させるという。最近のカナダの研究では、にんにくがω-3脂肪酸サプリメントを摂取している人々のLDLの増加を相殺することを示唆した。
週間以上にわたるベースラインの測定後、中程度の高コレステロール血症(総コレステロール〉5.2mmol)の50人の男性が次の4種類のサプリメントの中の1つを1日1回、12週間摂取した。
@にんにくプラセボと魚油プラセボ
Aにんにく900mgと魚油プラセボ
Bにんにくプラセボと魚油12g(ω-3脂肪酸3.6gを含む)
Cにんにく900mgと魚油12g
これらを摂取後、研究者達は血清脂質、血清リポタンパク質値と共に、血圧を測定した。即ち、LDL、高密度リポタンパク質(HDL)、総コレステロール、トリグリセリドである。46人の人々が試験を終了した。残りは個人的理由、又は関連性のない医学的条件によって除外された。
12週にわたる投与後、プラセボのみ(@)以外の3群で、血圧は2.4%〜4.2%の間で低下した。しかしながら、抗高血圧の効果は、にんにくのみを摂取している人々と比べて、魚油群でより急速に明らかになった。研究者達は、血管拡張に導くNOの産生を増加させるらしいと推測している。一方、ω-3脂肪酸はエイコサノイドの産生を変化させることにより、血圧を低下させるらしい。 
にんにく及びω-3脂肪酸の両者が抗高血圧効果を示す一方で、このサプリメントは血清脂質とリポタンパク質へ異なった効果を生じた。例えば、魚油のみ、にんにくとの併用は、それぞれトリグリセリド値を37.3及び34.3%低下させた。この結果はこれまでの研究結果と一致している。対照的ににんにくのみでは、トリグリセリド値に影響を与えなかった。
しかしながら、にんにくのみ或いは魚油との併用は総コレステロール値を有意に減少させた(それぞれ11.5と12.2%)。同様ににんにくのみ或いは魚油との併用は、LDL値をそれぞれ14.2、9.5%低下させた。魚油のみでは、総コレステロールに影響せず、LDLを8.5%増加させた。魚油投与の両群でHDL濃度を増加させる傾向はあったが、この傾向は統計的に有意でなかった。
これらの変化と一致して、魚油を併用してもしなくても、にんにくを摂取している被験者では、総コレステロール:HDL比、LDL:HDL比が低下した。この2つは、心疾患の危険性の減少と関連性がある。総コレステロール:HDL比はにんにく群で12.5%低下し、魚油との併用では16.2%低下した。LDL:HDL比は、それぞれ15.3、19.0%低下した。
この研究で、魚油ににんにくを添加することは、LDLの僅かな増加を有意な減少に逆転させることが考えられる。それによって血清脂質と血清リポタンパク質のプロフィールを改善した。全ての治療においてわずかだが、有意な収縮期と拡張期の動脈血圧の低下が認められた。 
総血清コレステロールへのサプリメント投与の効果 


 
 

糖尿病:ω-3脂肪酸と高血糖症
(PUFA NewsLetterより) 

インシュリン非依存性糖尿病(NIDDM:2型)は、脳血管と末梢血管疾患と同様、冠状心疾患の主要な危険因子である。例えば、糖尿病患者は非糖尿病患者と比較して、2倍から5倍も冠状心疾患を発症しやすい。この理由の一部は、高トリグリセリド血症になりやすい傾向にあるためである。
この点については、動脈硬化症の発症と進行に関連するω-3脂肪酸の正の影響が、現在よく認められている。研究者達は、内皮細胞の弛緩と同様に、血漿脂質、プロスタグランジン代謝、成長因子の形成での有益な変化を示した。しかしながら、いくつかの研究で、ω-3脂肪酸は、グルコース不耐性或いはNIDDMの個人の血漿グルコース値を上昇させるかも知れないことを示している。このことは、ω-3脂肪酸摂取はこのような症例で制限されなければならないという提案に導く。更に、いくつかの動物実験で大量のω-3脂肪酸を慢性的に投与することは、インシュリン抵抗性を示すように脂肪細胞を肥大させた。一方、ω-3脂肪酸を評価した臨床試験では、糖尿病患者の高血糖の調節が損傷されるという証明はない。しかも、ω-3脂肪酸で細胞膜を強化することは末梢のインシュリン抵抗性を減少させるらしい。
この問題を検討するために、Cesare Sirtori博士らがイタリアの魚油を用いた多施設研究(Italian Fish Oil Muticentre Study)、即ち多施設での、無作為、二重盲検、プラセボをコントロールに用いた血糖調節へのω-3脂肪酸の影響を検討した。グルコース非耐性を伴う、または伴わない高トリグリセリド血症又は糖尿病の患者が全部で935人参加した。約55%はグルコース耐性の損傷或いはNIDDMのいずれかを示した。更に、21%がシンドロームX、即ちCHDのリスクを増大させる高トリグリセリド血症、高血圧、低密度HDL濃度、グルコース耐性の損傷などの合併症であることが明らかであった。患者はEPA1530mgとDHA1050mg又はプラセボのいずれかを1日3回、2ヶ月間投与された。この後、服用量は1日2回、EPA1020mgとDHA700mg又はプラセボを更に4ヶ月間投与された。
6ヶ月後、血漿EPAとDHA値は、各々43%、16%上昇した。赤血球膜では、EPA、DHAの濃度は各々214%、31%上昇した。EPAで著しい増加が認められたことには、DHAと比較してこの脂肪酸の循環しているプールが小さいことを反映している。 
トリアシルグリセロール*値は、6ヶ月試験終了時ω-3脂肪酸を摂取している患者で21.5%、プラセボ群で6.5%で減少した。しかしながら、高密度リポタンパク質(HDL)濃度が0.91mmol/l以下か同じ値のNIDDMの患者では、トリグリセリド値は23%減少した。この変化はHDLが0.91mmol/l以上の患者では約17%であったことと比較される。グルコース抵抗性或いはNIDDM患者と非糖尿病患者のコントロールの間では、トリグリセリドへの応答に何らかの差が認められなかった。
低密度リポタンパク質(LDL)コレステロール値はプラセボ群で3%、ω-3脂肪酸の摂取群で6%上昇した。この差は6ヶ月後、統計的に有意な差になった。両群はHDLコレステロールの5%の上昇をしめしたが、プラセボを摂取している非糖尿病男性群でHDLの上昇が4.5%であるのと比較して、グルコース非耐性或いはNIDDMのいずれかの男性群でHDLの8.3%の上昇を認めた。しかしながら、全体で総またはHDLコレステロールは試験期間中、統計的に有意な差は認められなかった。これらの結果により、より高い服用量ではあるが、ω-3脂肪酸はトリグリセリド値を低下させ、LDL濃度を若干増加させた。
ω-3脂肪酸の補給は、グルコース非耐性或いはNIDDMの患者において空腹時グルコース、HbA1C*、インシュリン血症、グルコース耐性を含む、主な高血糖症の指数のいずれにも何らの効果を認めなかった。更に、治療6ヶ月後の収縮期と拡張期の血圧は何らの低下も認められなかった。研究者は、血圧へのω-3脂肪酸の効果は、これまでの研究で多様な結果が得られ、議論を呼んでいると述べている。この研究ではω-3脂肪酸の服用量が、抗高血圧効果を生じるのに不適当であったのかもしれない。いくつかの症例では血圧が上昇した大部分の患者は抗高血圧剤で治療されるべきである。
Sirtoriらは高トリグリセリド血症及び異常グルコース代謝の患者は、高血糖の制御を悪化させることなしに、EPA及びDHAの中等度の摂取で効果が得られると結論した。しかしながら、ω-3脂肪酸投与は、シンドロームXの他の特徴を改善することはなかった。それにもかかわらず、この研究はω-3脂肪酸は高トリグリセリド血症に適した治療であることを示唆している。 
〈学会情報〉 ●August 2-7  Molecular and Biological Mechanisms of Antioxidant Action, FASEB Summer Research Conference, in Copper Mountain Resort, Colorado, USA. Contact: Dr Balz Frei, Linus Pauling Institute, Oregon State University, 571 Weniger Hall, Corvallis OR 97331, USA. Telephone: 541-737-5078; Fax: 541-737-5077. E-mail: balz.frei@orst.edu ●European Atherosclerosis Society 70th EAS CONGRESS  Geneva, Switzerland, September 6-9, 1998  Switzerland Tel: +41 22 908 18 11, Fax: +41 22 908 18 35, E-mail: 70thEAS@KUONI.CH  KUONI CONGRESS  PO Box 1731, Rve de Berne 7, CH-1211 Geneva 1 ●日本脂質栄養学会第7回大会  平成10年9月11-12日  仙台市民会館  仙台市青葉区桜ヶ丘公園4-1(通称:西公園)  TEL: 022-262-4721 ●The IX BIENNIAL MEETING OF THE SOCIETY FOR FREE RADICAL RESEARCH  September 7-11, 1998  TRANSAMERICA HOTEL CONVENTION CENTER  Av. das Nacocs Unidas, 18591. 04795-901- Sao Paulo, SP-Brasil. Tel: (5511)5234511  Fax: (5511)5238700

*トリアシルグリセロール  中性脂肪の1つでトリグリセリドともいう。  1分子のグリセロールに3分子の脂肪酸がエステル結合したもの。食糧として以外に工業原料、医薬品としても広く用いられている。
*HbA1C(ヘモグロビンA1C)  ヘモグロビンAのβ鎖N末端のバリンにグルコースが結合し、アルブミン、さらにケトアミンとなった糖化蛋白。高血糖状態が長く続くと、赤血球中のヘモグロビンはグルコースと結合し、HbA1Cを形成する。赤血球の寿命が約120日であることから、HbA1Cは過去1〜3ヶ月の平均血糖値を反映する。このため、HbA1Cは糖尿病患者の血糖コントロールの指標として有用されている。 


 
 

ビタミンEに関する話題
(Antioxidant Vitamins NewsLetterより)

喫煙酸化的ストレスとビタミンE
喫煙によってヒトの体は酸化的攻撃を受ける。したがって抗酸化物質が不足してくる。
その結果、喫煙者は抗酸化ビタミンをより多く摂取する必要があると考えられている。
非喫煙者に比べて喫煙者はビタミンCの血中等のレベルが低いという報告は数多くある。したがって少なくとも、ビタミンCの摂取量を増やすことによって部分的にこの状態は改善されるはずである。
一方、喫煙とビタミンEの相関関係に関する報告は少ない。
ビタミンE、ビタミンCの低摂取者、喫煙者及び非喫煙者にビタミンEの種々濃度の量(70-1050mg/日)を摂取させた、スコットランド人での試験で、赤血球中のビタミンE濃度と赤血球の過酸化状態(酸化的ストレスの指標)が測定された。
その結果は以下のとおりである。
@赤血球中ビタミンE濃度は、喫煙者と非喫煙者の両者で濃度依存的に増加した。
A喫煙者では、赤血球の過酸化状態が濃度依存的に改善された。
Bしかしながら非喫煙者では、本試験の最高濃度ビタミンE摂取群で、赤血球の過酸化状態が悪くなった。
このことは、重要な酸化的効果を想定させる。
ビタミンEの継続摂取によって、喫煙者、非喫煙者の双方において血漿ビタミンC濃度の減少がみられた。特に、非喫煙者のビタミンE高摂取群で最も顕著であった。
この試験の結果は、高用量のビタミンE及びビタミンCの併用は、特に非喫煙者において赤血球のフリーラジカルによる過酸化を予防することを示している。
出典 Am J Clin Nutr 62 (2) :496-502 (Feb 1997)

喫煙者(S)と噛みたばこ常習者(C)の抗酸化状態(アメリカ)
ネグラスカリンカーン大での試験 

被験者:男性44名
内訳:10名:N.S./N.C.
23名:長期S
11名:長期C
マーカー:血漿中カロテノイド濃度
血漿中ビタミンE
結果:N.S./N.C.>C>S
考察:各群被験者の食習慣は大きく異なっていないので、これら栄養素吸収率あるいは代謝が異なっていることが推察される。
ほとんどの被験者はビタミンEのRDA量(10mg TE/日)を摂取していたが、Sの70%及びCの27%がビタミンEの適正血漿濃度より低かった。
N.S.でも1人だけ低血漿中ビタミンEレベルであった。
これらの結果から、タバコ常習者のビタミンEとカロテノイドの栄養状態は疑わしいと思われる。
出典 Int J Vit Nutr Res 66 (3) :203-209 (1996)

ビタミンEは血小板機能に影響する。(イギリス)
血小板機能に対する抗酸化栄養素の効果はまだ十分確立されていない。
健康なイギリス人に次のサプリメントを8週間補給
ビタミンE :300mg
ビタミンC :250mg
β-カロテン:15mg
結果:血小板機能を有意に低下させた。
ビタミンC&β-カロテン:無影響
ビタミンEの血小板機能修飾作用は、血栓症の予防に寄与する。そしてその結果として、heart attackや発作のリスクを減少させる。
このビタミンEの血小板に対する作用は、血小板過凝集症あるいは既往循環器疾病のある患者には特に有用である。
出典 Aherosclerosis 128 (1) :97-105 (3 Jan 1997)

血液透析患者の抗酸化栄養素レベル(アメリカ
ミシガン大での研究
血液透析患者→CVDに死亡率高い
おそらくAOV状態→悪い
109名の患者で調査
血漿カロテノイド量<正常
血漿中ビタミンC、ビタミンEは濃度差なし
アフリカ系米国人:脂質(総カロテノイドーリコパン)↑
白人      :ビタミンC↑
食習慣の人種差によるものと考えられる
結果
血液透析患者は、カロテノイド状態が問題
典 Am J Clin Nutr 65 (3) :844-850 (Mar 1997)

図 血漿中の各トコフェロール濃度


 
 

サンスクリーンに関する一問一答 


5.どのくらいの頻度でサンスクリーンを使用すべきでしょうか?
個人の活動状態に従い、2から4時間おき程度です。水との接触、過剰な発汗そして当然のことながらタオルで拭き取ることは、サンスクリーンの防護効果を失わせることになります。 
6.サンスクリーン製品で見られる“防水性”と“耐水性”に関する違いは何ですか?
サンスクリーン製品で、防水性とあるのは40分間水中での浸漬に耐え、また耐水性とあるのは80分間水中での浸漬に耐え、そしてそれぞれが少なくともその表示されているSPF値の70%が保持できるものを言います。
7.日常の化粧品にUV-A及びUV-Bフィルタが共に必ず含まれる様にすることはどの程度重要なことですか?
化粧用クリーム、モイスチャライザー、ローション、フェイシャルローション、トニック等の肌の手入れ用製品は、UV-Bの有害な作用や太陽光に大量に含まれている浸透性の有害なUV-Aの作用に対して、皮膚を防御できる様に全て設計されている必要があります。みずみずしく、弾力性に富む若々しい皮膚を保つためには、長期にわたる皮膚の傷害を、日常の化粧品によって軽減できることが必要であり、従ってUV-A及びUV-Bに対して共に防御できる作用を持たせることが必要であります。
8.南アフリカの人達は特に強い紫外線を浴びるリスクに曝されていますか?
南アフリカは、世界でも最も高い紫外線のレベルが観察されており、皮膚や目及び免疫抑制等健康に対して大きな脅威となっています。
9.適切なSPFをどの様に選んだら良いですか?


 
 
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