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老化と認識能の低下は酸化的ストレスが関係している。 加齢はビタミンEなどの抗酸化物質により軽減できる酸化的ストレスのレベルに伴い進行するとみられる(Beckman,
Ames, 1998)。 老化につながる抗酸化物質低濃度は、加齢による認識能の低下や、老人性痴呆症、パーキンソン病、アルツハイマー症のような疾病のリスクファクターである考えられている。
近年の多くの研究で、ビタミンEや他の抗酸化物質は認識能低下を防御できることが示唆されている。 例えば Chandra(2001)は中程度のビタミンや微量元素の摂取により、健康な高齢者において認識能の改善が認められている。Chandraはこのような抗酸化物質の摂取を、認識能やQOLの改善のためにも全ての高齢者に推奨するべきであると述べた。さらなる研究が期待されるが、高齢者へのビタミンEのような抗酸化物質の利用が考えられ、特に高齢者のビタミン欠乏症の可能性が増加した時に考慮される。スペインでの研究によると、独居老人の85%以上の人は、ビタミンEの摂取量が栄養所要量の3分の2に満たなかった(Requejoら,
2002)。
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パーキンソン病は高齢者における神経変性症の代表的な疾病である。酸化的ストレスはこの疾病のリスクの一つとして考えられ、ビタミンE摂取を含む抗酸化療法がパーキンソン病発症や進行のリスクを低減させる可能性がある(Prasadら,
1999)。 多くの疫学調査から、ビタミンEの高濃度とパーキンソン防御との関連が示唆されている。
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アルツハイマー症は老人性の痴呆の中では最も多く、75歳以上では25%、85歳以上では47%の人が罹患している(Gonzalez-Grossら,
2001)。 酸化的障害が主要因と考えられており、ある介入試験ではビタミンEによるアルツハイマー症の進行遅延という効果が認められた(Sanoら,
1997)。The Quality Standards Subcommittee of the American Academy of
Neurologyの報告書では、アルツハイマー症遅延のために高用量のビタミンE摂取を推奨するというガイドラインが作成された(Doodyら,
2001)。 |
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ビタミンEの効果 |
- アルツハイマー症の進行遅延 |
- パーキンソン病予防 |
- 認識能低下の抑制 |
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参考文献 |
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Beckman KB, Ames BN, -The free radical
theory of aging matures |
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Berr et al., 2000 -cognitive decline is
associated with oxidative stress |
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Sano et al., 1997 -controlled trial showing
that vitamin E slows the progression of severe Alzheimer's |
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Gonzales-Gross et al., 2001 -comprehensive
review article about nutrition and cognitive impairment in the elderly |
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Prasad et al., 1999 -a review about Parkinson's
disease covering the use of antioxidant therapy |
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Chandra, 2001 -a study showing the improvement
in cognitive function in elderly subjects following vitamin supplementation |
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Requejo et al., 2002 -vitamin E status
in a group of elderly people from Madrid |
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Doody RS, et al., 2001 -Practice parameter:
management of dementia (an evidence-based review). Report of the Quality
Standards Subcommittee of the American Academy of Neurology. |