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ヒトの健康におけるビタミンEの役割については、多くの疫学調査結果報告され、また多くの介入試験が計画されいる。しかしビタミンEの「機能性」という概念もまた重要である。ここでいう「機能性」とは、生物学的または生化学的効果と考えられる。機能性研究は疫学及び介入試験に欠けている部分を補足し、今後のビタミンEの効能についての調査や議論を発展させる。
さらに機能性研究は、ビタミンEの作用は抗酸化作用だけではないということを証明する。 ビタミンEの機能性についての情報は、動物実験や組織培養実験を含む種々の研究室レベルでの実験から得られる。これらの緻密な実験方法は、ビタミンE作用の発見につながる。
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多くの論文などでは、種々の疾病にビタミンEの機能性が関与していると述べている。例えば、ビタミンEは心臓の健康に重要な血管の弾力を保つことが判明した。
まだ詳細な作用機構については不明な部分もあるが、平滑筋細胞内で作用している可能性もある(Mottramら, 1999)。 同様にビタミンEはヒト大動脈細胞での癒着やコレステロール凝集にも関与している。
これらの研究結果は、ビタミンEが血管を滑らかにする(Wuら,1999; Devarajら, 2001)など、抗酸化作用以外の効能があることを証明している。
ビタミンEは心臓病の原因となる血管炎症を抑制することも明らかになった。 作用機構は全て判明しているわけではないが、炎症や動脈硬化の指標であるC反応たんぱくやIL-6濃度を低下させると考えられている(Devaraj,
Jialal, 2000)。 この他の研究でも、抗酸化作用ではないビタミンEの作用が示唆されている。
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機能性研究から考察できるビタミンEの効能: |
- 血管の弾力性を改善 |
- 血管の炎症抑制 |
- 血管を滑らかにする
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- がん細胞の増殖抑制 |
- がん細胞の死滅促進 |
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参考文献 |
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Devaraj and Jialal, 2000 -vitamin E reduces
inflamation of blood vessels, a risk factor in heart disease |
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Devaraj et al., 2001 -Vitamin E reduces
expression of CD36, a receptor involved in cholesterol aggregation |
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Wu et al., 1999 -Vitamin E reduces expression
of adhesion molecules in human aorta endothelium cells and hence could
be involved in keeping the blood vessels smooth |
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Mottram et al., 1999 -Vitamin E appears
to increase artery elasticity, an important factor reducing CHD risk |
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Martin-Nizard et al., 1998 -Vitamin E inhibits
the activity of PKC (an important cellular protein) |