第36回VICプレスセミナー(2001/3/28)抄録
 『ビタミンと疾病に関する調査研究における五訂日本食品標準成分表発行の意義〜B群ビタミンとホモシステインとの関係〜』 
 

  去る3月28日(水)に開催したVICプレスセミナーでは、五十嵐 脩先生(茨城キリスト教大学生活科学部教授)に『ビタミンと疾病に関する調査研究における五訂日本食品標準成分表発行の意義〜B群ビタミンとホモシステインとの関係〜』をテーマにご講演いただきました。
 講演概要は以下の通りです。
 

  食材の栄養成分を表示した「日本食品標準成分表」(旧科学技術庁資源調査会編)が昨年末、18年ぶりに改訂されました。これが五訂版となります。収載食品数は1882と1982年の四訂版より261増えました。成分項目も36項目と充実し、とくにビタミンとミネラルが増えています。
 諸外国からの新食材の輸入、冷凍食品の普及、トマト、キュウリなど通年栽培野菜の増加、食材の調理方法の変化など、今回の改訂版には最近の食生活の多様化や食品の生産、流通の変化が反映されています。
 収載食品ではとくに野菜類と魚介類の増加が目立ちます。魚介類は養殖もの、野菜では冷凍食品が追加され、肉類と果実類もやや増えています。果実では輸入物が追加されました。野菜では、季節による成分値の変動も備考欄に表示。たとえば、ホウレンソウのビタミンC含有量は、可食分100g中平均35mgですが、夏採りだと20mg、冬採りでは60mgと明記されています。肉類では「焼き」「ゆで」と調理によって変わる数値の違いも表示し、きめが細かくなっています。
 ミネラルの成分項目はナトリウム、カルシウムなど8種類あります。ビタミン類はE、K、B6、B12、葉酸、パントテン酸が追加され、ほとんどを網羅されています。食物繊維やコレステロールも追加され、疾病予防の観点からも有用です。
 たとえば葉酸は、二分脊椎(せきつい)症など先天異常の子を出産する危険性を減らす効果が認められており、厚生省(現厚生労働省)は昨年末、妊娠可能な年齢の女性に葉酸の摂取を勧告しています。
 また近年、動脈硬化の危険因子として注目されているホモシステインの代謝に葉酸やビタミンB12、B6が関与していることが明らかになり、抑制効果が証明されつつあります。
 今回の五訂版について、茨城キリスト教大学生活科学部の五十嵐脩教授は「食品標準成分表は、栄養所要量作成のための基礎資料となるものだが、栄養学、食品学をはじめ医学などの研究分野などでもさらに幅広く利用されるだろう」と話しています。
 
 

<葉酸が多く含まれる食品>


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