No.106 2003年 1月 PDF

ビオチンの役割と健康への影響 姫路工業大学 環境人間学部  教授 渡邊 敏明

はじめに
ビオチンはいろいろな食品に含まれていますが、あまり広く知られていません。しかし、近年、ビオチンが健康と深く関わっていることが明らかにされつつあります。そこで、ビオチンの生体における役割について、とくに最近関心が高まっているアトピー性皮膚炎などの皮膚障害とビオチンとの係わりを説明します。また、ビオチンが食品添加物として近々認可される予定であり、サプリメントとしてのビオチンの重要性を紹介します。
1.ビオチンとは
ビオチンは、水溶性ビタミンの1つであります。このビタミンは、レバー、卵黄、穀類などの食品に広く分布しています。また、腸内細菌によっても合成されています。このため、極端な偏食や腸に疾患がなければ、普通の食生活では、一般にビオチン欠乏になることは稀であると言われています。ビオチン欠乏が起こる原因としては、摂取量の低下、吸収の阻害、先天性の代謝障害などが考えられます。
このビタミンは、体内において、補酵素としてカルボキシラーゼの働きを助けています。この酵素は、糖新生、脂肪酸合成やアミノ酸代謝などと関連しているため、ビオチンが欠乏するとエネルギー代謝や種々の生理機能が障害されます。さらに、免疫機能の低下やコラーゲン合成の低下などがみられます。この結果、ビオチン欠乏との直接的な関連ははっきりしていませんが、ヒトにおいては脂漏性湿疹や脱毛などの皮膚症状、易感染性および神経炎が知られています。最近の報告では、妊娠の経過に伴ってビオチンが低下することが示唆されています。また、動物実験ではありますが、母体のビオチン欠乏によって胎児に形態異常が誘発されます。ビオチンの代謝と関連している酵素として、ビオチニダーゼがあります。この酵素は、消化管内でタンパク質と結合しているビオチンを遊離させる働きを持っています。また、担体タンパク質として、ビオチンの吸収や輸送に関与しています。このようなことから、カルボキシラーゼやビオチニダーゼに障害がある場合にもビオチン欠乏症状がみられます。生鶏卵を長期間大量に摂取している時にみられる「卵白障害」もビオチン欠乏によるものであります。このことから、ビオチンは、ビタミンHとも呼ばれていました。この「H」はドイツ語で皮膚Hautを意味するもので、ビオチンは皮膚と関連が深いビタミンとして、古くから知られています。このため、ビオチンは、皮膚疾患の治療薬として用いられていますが、最近は新しい薬が開発され、あまり使用されていません。皮膚疾患に用いられている漢方製剤にも、遊離型ビオチンが多量に含まれています。

2.糖尿病とビオチン
掌蹠膿疱症や掌蹠膿疱症性骨関節炎は、掌や足の裏にたくさんの皮疹や膿疱ができる疾患で、これまでに治療の決め手が見つかっていません。これらの患者では血液中のビオチン濃度が半分以下で、約6割が糖尿病を合併しています。しかし、大量(9mg/日)のビオチン経口投与によって、皮疹や骨の痛みが消失するばかりでなく、血糖値も低下し、糖尿病に対してもビオチン投与の効果が見られています。
 実際に、インスリン非依存型糖尿病患者にビオチンと整腸剤の併用投与を続けたところ、
全員の血糖値が正常範囲に下がってきます。またインスリン依存型糖尿病患者でも、ビオチン投与によって血糖値の正常化が見られています。ビオチンの作用機序については明らかではありませんが、ビオチンが糖代謝に関与していますので、ビオチン投与によって糖代謝が亢進し、血糖値が低下したものと示唆されています。

3.乳児とビオチン
乳児において、ミルクアレルギーや先天性代謝異常症などの場合、治療用特殊ミルクが用いられます。しかしながら、わが国では、ビオチンが食品添加物としていまだに認可されていないために、食品にビオチンを加えることができません。
このため、現在使用されている粉ミルクや治療用特殊ミルクには添加されていません。とくに、治療用特殊ミルクでは、精製した原料が使用されているために、ビオチンがほとんど含まれていない製品があります。現在市販されている粉ミルクのビオチン量は平均1.04μg/100kcalであり、治療用特殊ミルクでは平均0.45μg/100kcalであります。これは、FAO/WHO(国際連合食糧農業機関)の推奨値1.5μg/100kcalより、非常に低い値であります。このことは、わが国ではこれらの粉ミルクを哺乳している人工栄養児でビオチン摂取量が
十分でないことが懸念されます。
最近、アトピー性皮膚炎の患者で血清ビオチン濃度が半分以下に下がっていることが報告されています。またミルクアレルギーと診断された乳児を治療用特殊ミルクで哺育しているとおむつかぶれ様発疹と眼や口の周囲に紅斑が見られてきます。この患者にビオチンを投与しますと、発疹などは消失します。このようなことから、アトピー性皮膚炎の発症にビオチンが関与していることが指摘されています。ベビーフードのビオチン含有量は0-58.5μg/100gの範囲にあります。一般に、穀類、肉類を使用した食品ではビオチン含有量は高い値でありますが、果汁飲料類や乳製品を主体としたおやつ類では低値であります。まったく含まれていない食品もみられます。
一般、乳児では食事に多様性がないことや、粉ミルクのビオチン量が少ないことや消化管の機能が未熟でビオチンの産生や吸収が少ないことにより、ビオチン不足になることが心配されます。ビオチン不足になると、皮膚の形成が障害され、外的刺激を受けやすい状態になっています。このため、乳児におけるビオチンの摂取量には十分に注意する必要があります。

4.ビオチン代謝異常症
アトピー性皮膚炎と診断され、5年以上軽快することがない症例があります。このような症例には、ビオチニダーセ活性の低い患者が3-4%見出されています。酵素活性の低下のみでなく、ビオチン値も健常者の10%以下であります。しかし、ビオチン(5mg/日)を投与すると、顔面の湿疹は消失します。このように、難治性のアトピー性皮膚炎の中には、ビオチン関連酵素であるビオチニダーゼやカルボキシラーゼの欠損によるものが含まれています。

5. サプリメントとしてのビオチン
欧米では、ビオチンが身近な食品やビタミン剤に利用されています。その必要性が多くの人々に認められています。わが国では、食品添加物として認可されていないため、サプリメントとして使用されていません。これは毒性があるためではなく、ビオチンの栄養学的な重要性が十分に理解されていないためです。その証拠に、皮膚疾患の治療薬としては認められています。第六次改定日本人の栄養所要量において、ビオチンの所要量が初めて策定されました。所要量は、成人で1日当たり30μgであります。また健常者ではありませんが、ビオチンの大量(10-100mg)投与による副作用は見られていません。このため、許容上限摂取量は決められておりません。しかしながら、五訂日本食品標準成分表に葉酸やビタミンB12が新たに加わりましたが、ビオチンはいまだ収載されていません。
わが国において、2001年4月に保健機能食品が制度化され、栄養機能食品と特定保健用食品が明確にされました。栄養機能食品としては、ビオチンを含めた12種類のビタミンと2種類のミネラルの表示基準や規格基準が決められました。ビオチンの成分規格をみますと、上限値が500μgで、下限値が10μgであります。また、栄養機能表示として、「ビオチンは、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です。」が認められています。ビオチンは、上述しましたように、皮膚の健康と密接な係わりを持っていますので、ビオチンサプリメントの有用性が期待されます。

6. 最後に
 一般に、ビオチン欠乏症は存在しないと思われています。しかし、潜在性あるいは不顕在性のビオチン欠乏が存在している可能性があります。また難治性のアトピー性皮膚炎や糖尿病がビオチン不足によって憎悪されている可能性が示唆されています。しかし、ビオチンの生理機能については、十分に解明されているものではなく、さらなる研究の発展が必要であります。今回ビオチンが食品添加物として認可されるのを機に、ビオチンの重要性について再認識されるとともに、新しい研究成果を取り入れたビオチンサプリメントの利用が期待されます。

 

 

アルギニンとビタミンEの抗酸化作用 (S.Wallnerら, Eur. J Clin. Invest.2001, 31, 98-102より)
   
L-アルギニンは動物試験ならびにヒト試験においてアテローム生成を減らすことが見出されており、その重要な生成ステップである血小板凝集あるいは単球(白血球)の血管付着に影響を及ぼす。従来これはアルギニンがNO(一酸化窒素)の前駆体であり、NOの産生増加が血管内皮の機能の改善によると信じられてきたが、最近我々は、外部から摂取されたアルギニンが、体内の過酸化物消去の作用と細胞が介在するNOの崩壊を遅らせること、銅存在下でのリポタンパクの酸化を低下させることを示した。
また、ビタミンCやビタミンEも血管内皮の機能改善やアテローム生成の抑制をしており、アルギニンのNO産生だけでなく、その抗酸化効果もこの効果に関与しているものと考えられる。 
すなわちアルギニンの抗酸化作用はアテローム性動脈硬化への抵抗作用の一部を担う可能性をもつものであり、その抗酸化作用はリポタンパクの酸化モデルにおいて特徴づけられる。またApoB-100は(LDL(低比重リポタンパク)の主要なタンパク)に対して、銅イオンは特殊な飽和状態で結合することによってLDLの酸化開始機序に関与している。この酸化開始の場所からフリーラジカルは粒子表面の相互の脂質相互間移動の結果として、脂質層に浸透・伝播していくと考えられる。
蛍光プローブを使って血清中のリポタンパクをモニターしながらL-アルギニン、N-α-アセチルアルギニン、ビタミンEとアルギニンの組合せによる抗酸化作用を銅(CuSO4)あるいはAAPH ( 2,2'-Azobis(2-amidinonpropane) hydrochloride)によるフリーラジカルの発生後に測定した。銅により誘導されたリポタンパク酸化に対する伝播率はL-アルギニンでは投与量に応じて増加したが、N-α-アセチルアルギニンでは増加しなかった。
銅誘導によるリポタンパク酸化の伝播については、蛍光濃度の低下によって酸化されたことを意味するが、これに要する時間について全体の1/2に達するまでの時間(t1/2)はL-アルギニンでは投与量に応じて増加したが、N-α-アセチルアルギニンでは増加しなかった。
 

L-アルギニンとビタミンEは、異なる酸化作用を銅誘導の酸化について示した。ビタミンEは酸化までのラグタイムの増加を起こし、アルギニンは伝播率(t1/2)にのみ影響した。双方の効果を同時に持つことはなかった。

銅誘導の酸化とは対照的に、L-アルギニンはAAPH誘導のリポタンパク酸化のタイムラグを増加させたが、酸化伝播率(t1/2)は逆に高濃度でも効果はなかった。N-α-アセチルアル
ギニンでは何ら抗酸化作用は示さなかった。
ビタミンE単独のラグタイム増加から見て、ビタミンE+アルギニンの組合せによる効果は相加効果であるといえる。
これらの試験は、L-アルギニンのNO供与体としてのメカニズム以外のアテローム性動脈硬化への抵抗性の証拠を示した。さらにこの試験でアルギニンのNO供与体以外の抗酸化効果はα-アミノ基が関係する効果であることが示された。
   
アミノ酸の基礎知識
たんぱく質は私たちの体の臓器や筋肉などの細胞、ホルモンや酵素を形成する重要な成分で、体重の約20%を占めます。自然界ではおよそ500種類のアミノ酸が発見されていますが、このうち20種類のアミノ酸の組み合わせで10万種類にもおよぶタンパク質が構成されています。
20種類のアミノ酸の中で、他のアミノ酸から体内で合成して不足を補うことができる11種を非必須アミノ酸、食事から摂取することが不可欠である9種類を必須アミノ酸とよびます。
体内では、たんぱく質に再合成されたアミノ酸のほかに、細胞や血液中などに蓄えられているアミノ酸もあります。 これらは遊離アミノ酸とよばれます。実際、非必須アミノ酸を含む多くの遊離アミノ酸は私たちの生体を維持するために、きわめて重要な役割を担っています。

 
 
 

若い女性によるビタミンB6摂取と血中B6類縁体、血中アミノ酸濃度との関係

(Soonら, Am J Clin Nutr 1992; 55: 865-872 より)

ピリドキサール5'-リン酸(PLP)はアミノ酸の多くの代謝における補酵素でありアミノ酸の吸収、輸送にも役割を演じていると考えられる。本研究は大量投与(27mg/日)の塩酸ピリドキシン(PN-HCl)を2週間10人の健康な若い女性に投与したときの血中PLPと血中アミノ酸濃度への効果を調べたものである。

 

試験内容とその結果

 
血中PLPは当初45±2nmol/Lであったが、7日間の投与で377±12nmol/Lに上昇した。PN-HClの投与期間中、PLPの血中定常濃度レベル
は維持された。
   
血中のグルタミン酸濃度は7日〜14日で有意に低下する一方、α−アミノN−酪酸、アラニン、システイン、アルギニン、フォホセリン、
尿素は上昇した。
   
 
   
考 察  
我々の試験では、若い女性でのビタミンB6欠乏は血中グリシン、セリン、グルタミン酸、α-アミノ-N-酪酸の上昇と、アラニン、システイン、アルギニンの低下が伴っておこっていた。他の論文での男性のB6欠乏とアミノ酸濃度の報告からも、B6の欠乏は一時的ないくつかの血中アミノ酸濃度がそれらのアミノ酸の組織間の再分配意かあるいは分泌によって起こることが示唆される。ビタミンB6の欠乏においてグリシンとセリンの空腹時の血中濃度が上昇することは組織のこれらのアミノ酸の吸収がビタミン欠乏によって阻害されているからかもしれない。事実、ビタミンB6は、いくつかのアミノ酸の小腸での吸収を刺激することが判明しており、その欠乏で吸収が低下するともいえる。ビタミンB6は、遊離アミノ酸のさまざまな非酸化的分解と異化に絡む酵素反応の補酵素である。30mgの塩酸ピリドキシンの欠乏時の投与は体内の血中の遊離アミノ酸濃度の一時的な増加とその後の低下を伴った。血中アミノ酸濃度の変化はB6摂取の時間に依存して変化するようにみえる。 観察される尿素の上昇はタンパク代謝あるいはアミノ酸代謝が加速されたことを示しているといえる。

 
 
 
 
ビタミンE摂取研究における安全性データ
(The Established Safety of Supplements of Vitamin E and C: The Scientific Evidence Nov.15, 2002 CRN より)
 
文献
対 象
ビタミンE投与量
期 間
安 全 性
1 冠動脈硬化症の症状がある者 36名 3,200 IU/日 9週間 副作用なし
2 心疾患患者 75名 200 mg/日 4-6週間 副作用なし
3 健常者 30名 800 IU/日 16週間 副作用報告なし
4 糖尿病患者 25名
2,000 IU/日 6週間 副作用なし
5 男性喫煙者(50-69歳) 29,133名 50 mg/日 5-8年間 出血性卒中の発症増加と虚血性卒中の発症低下(統計的有為差は報告なし)

6 冠動脈硬化症の症状がある人 400または800 IU/日 平均510日間 悪影響が観察されたため0.55%の人が中断
800 IU/日 摂取群と対照群では差なし
7 健常者 88名
60-800 IU/日 4ヶ月間 副作用なし
8 パーキンソン病患者800名
2,000 IU/日 8.2年間 副作用報告なし
9 心臓発作発症患者 11,324名
300 mg/日 3.5年間 副作用報告なし
10 心血管系疾患リスク保持者 9,541名 400 IU/日 平均4.5年間 副作用報告なし
11 血液透析をしている心血管系疾患患者 196名

800 mg/日 平均519日間 副作用報告なし
12 喫煙者・非喫煙者 男性・閉経後女性 520名 91 mg/日 3年間 副作用なし
13 AMD患者・失明者 3,640名
400 IU/日 平均6.3年間 抗酸化ビタミンにより肌の褐色が増加
14 血管系疾患または糖尿病患者 732名 400 IU/日 平均4.5年間 副作用なし
15 心血管系疾患発症リスク保持者 4,495名
300 mg/日 平均3.6年間 副作用なし
16 健康な高齢者 1,193名 500 IU/日 4年間 副作用なし
 
文 献
1) Andersonら,Am J Clin Nutr 1974; 27: 1174-1178
2) Inagakiら, New York: Elsevier-North Holland, 1978: 338-339
3) Stampferら, Am J Clin Pathol 1983; 79: 714-716
4) Bierenbaumら, Nutr Res Int 1985; 31: 1171-1180
5) ATBC Cancer Prevention Study Group,
N Engl J Med 1994; 330: 1029-1035
6) Stephensら, Lancet 1996; 347: 781-786
7) Meydaniら, Am J Clin Nutr 1998; 68: 311-318
8) Parkinson Study Group, Ann Neurol 1998; 43: 318-325
9) GISS investigators, Lancet 1999; 354: 447-455
10) HOPE Study Group, Eur Heart J 1999; 20: 725-741
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12) Salonenら, J Intern Med 2000; 248: 377-386
13) AREDS Research Group, Arch Ophthalmol 2001; 119: 1417-1436
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15) De Gaetanoら, Lancet 2001; 357: 89-95
16) Taylorら, BMJ 2002; 325: 11

 
 
 
 
ダイエタリーサプリメントに関する研究
(Annual Bibliography of Significant Advances in Dietary Supplement Research 2001 より)
 
米国立健康研究所(NIH: National Institutes of Health)の栄養補助食品室(ODS: Office of Dietary Supplements)では、2001年の科学誌に掲載されたダイエタリーサプリメントの分野における研究の中から、重要な25題を選択しまとめた"Annual Bibliography of Significant Advances in Dietary Supplement Research 2001を発行した。その中から2例を紹介する。
 
B群ビタミンとホモシステイン (Low dose vitamin B6 effectively lowers fasting plasma homocysteine in healthy elderly persons who are folate and riboflabin replete; Am J Clin Nutr, 2001, 73:759-764)

加齢により血中ホモシステイン増加とビタミンB6の低下が起こり、心血管系疾患のリスクが増加する。この研究は葉酸、リボフラビンまたはビタミンB12を充足させた状態の高齢者において、ビタミンB6がホモシステイン値に影響を及ぼすか否かを観察した。B群ビタミンを充足させるために、健康な22名の成人(62〜80歳)に、リボフラビン1.6mgを12週間投与し、続いて葉酸400μgおよびリボフラビン1.6mgを6週間投与した。
ビタミンB12欠乏者はいなかったため、ビタミンB12サプリメントは投与しなかった。その後ビタミンB6を1.6mgまたはプラセボを12週間投与し、リボフラビンと葉酸の摂取も継続していた。葉酸摂取により空腹時血中のホモシステインは19.6%低減し、ビタミンB6摂取ではさらに7.5%低減した。これらの結果から、B群ビタミンにビタミンB6を追加摂取することにより血中ホモシステインをさらに低下させ、高齢者における心
血管系疾患を防御することを示唆している。

 
血清カロテノイドと乳がん(Serum Carotenoids and Breast Cancer; Am J Epidemiol 2001;153:1142-1147)

カロテノイドは抗酸化機能によりがん予防の働きがあることが示唆されている。果物・野菜の適切な摂取はガン発症を防御することが証明されている一方、乳がんについては明確な証拠はない。本研究は、乳がんの病因と、果物・野菜やカロテノイドサプリメント摂取の指標となる血中バイオケミカルマーカーとの関連を研究した。 ルテイン、ゼアキサンチン、β-クリプトキサンチン、リコペン、α-カロテン、β-カロテンなどの血中カロテノイド濃度を、乳がん歴のない270名の女性と乳がん歴のある270名の女性で比較した。その結果、ルテイン、β-クリプトキサンチン、α-カロテン、β-カロテン値の低値と乳がんリスクの増加との関連が観察された。血中β-カロテン濃度を4分位にすると、最低群の乳がん発症リスクは最高群の2倍であった。この観察的研究は食品またはサプリメントからのカロテノイド摂取が低い人は乳がんリスクが増加する可能性があることを示唆している。


 
 
 
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