改善が十分でない人には、個々人の食習慣に併せたビタミ ンの補完ができるようにしていく必要がある。
図1 一般食・1,600kcal食のビタミン充足率(50〜60歳男性)
3.ビタミンは個々人の状況・食習慣に応じて補完
1)ダイエット中、糖尿病・高脂血症の人
減量を試みようとしている人は、エネルギー制限を行うた めに穀物や油脂、肉類を減らす傾向にあり、ビタミンB1不足 を招きかねない。しかし、糖質を制限される糖尿病の人や肉
食の量を控える必要のある高脂血症の人は、適正な食事療法 を行えば行うほど不足栄養素が出るといった矛盾が生じるこ とになる。疲れ易い、集中力が無い、苛立つなどの症状が現
れた場合は、ビタミンB1不足を推測して確認する必要がある。 すなわち、「穀物を減らしましょう」を言い換えてみれば、 「たんぱく質、食物繊維、亜鉛、マグネシウムをも減らしま
しょう」と言っていることになる。また、油脂を減らした結 果、ビタミンEが減り、肉類の制限によりビタミンB1、B2、 B6などの充足が難しくなる。したがって、減量が必要な人
やすでに糖尿病や高脂血症の傾向がある人は、一般の食品の 他にビタミンEやC、β-カロテンなど抗酸化物質を補給す るのが望ましい。
なお、ビタミンB6は、過剰摂取により知覚神経障害が起き たという報告があり、日本の成人の許容上限摂取量は100mg と定められているので注意する。
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2)野菜・海藻不足の人、外食・ストレスが多い人 野菜不足は、外食をする人に多い傾向がある。こうした人 はビタミンC、B6、E,β-カロテン、それにカルシウム、
カリウムが十分にとれない(図5)。この改善ができない人 は、これらを含んだ栄養機能食品や青汁、クロレラ、麦類若 葉食品、まこも食品、ビタミンE含有の植物油などが勧め
られる。なお、ストレスが多い人は、尿中にビタミンC、カ ルシウム、マグネシウムが排出されるため、野菜や乳製品を 摂るか、それが難しい場合は、サプリメントを利用する。
3)大量の飲酒習慣があるが節制ができない人 大量の飲酒習慣がある人は、食べ物を食べない、食べたと しても野菜や海藻は食べない、挙句が朝食欠食で昼食外食と
いった行動をとり易い。すると、当然不足するビタミンは相 当な種類になる。野菜不足によるビタミンB6、C、E、K、葉 酸だけでなく、穀物からのB1などあらゆるビタミン不足が生
じ易い。ましてや大量の飲酒者は、腸管からのビタミンDや ビタミンK、葉酸の吸収が悪くなり欠乏症を引き起こすこと があると言われている。したがって、まず緑黄色野菜の摂取
に努めることだが、困難であればマルチビタミンあるいは麦 類若葉食品、クロレラなどハーブ類や藻類サプリメントで補 完する。
なお、葉酸は1日に5,000μg以上摂取すると、ビタミンB12 不足による症状を隠し、神経への損傷を引き起こすことがわ かっているので、ビタミンB12のサプリメントと併用するこ
と。そして許容上限量である1,000μgを超さないようにする。
4)禁煙ができない人
喫煙習慣のある人は、ビタミンCの消費が多いことや組織 内に貯蔵されたビタミンB12を減少させること、さらには喫 煙が葉酸や亜鉛の血清濃度を有意に低下させるなどが分かっ
ている。優先すべきは、当然禁煙だがこれができない場合は、 野菜や果物を摂ることである。この改善もできない人は、ビ タミンCと葉酸を含んだ栄養機能食品、あるいはビタミンC
含量の多い麦類若葉食品、クロレラなどで補給する。
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